ワイン用語集フランスワインボルドー地方

シャトーアンジェリュスとは?その特徴と歴史

シャトーアンジェリュスは、もともと特別級に格付けされていました。

しかし1996年には第1特別級Bに、2012年には第1特別級Aに昇格しています(よほどうれしかったのか、わざわざダブルクォーテーションでAを囲んでいます。)。

評価とともに急速に品質を向上させたことは世界中のワイン業界を驚かせました。

 

栽培面積は26ヘクタール、年間生産量は1000ケースほどで、日本ではあまり見かけることのないシャトーです。

メルローカベルネフランが半分ずつで、若干のカベルネソーヴィニヨンが加わります。

ここのシャトーは見た目も美しく、醸造所もモダンで、南向きの畑が見渡せる光景の絶好のロケーションにあります。

 

 

シャトーアンジェリュス

”お告げの鐘”という名の名シャトー

1782年、フランス王の近衛騎兵、ジャン・ド・ブアール・ド・ラフォレがサンテミリオンに居を構えました。

1795年、息女カトリーヌがシャルル・スフラン・ド・ラヴェルニュと結婚します。

このシャルルが当時のシャトー・マゼラを所有していたのです。

 

やがてシャトーは息子のジャック・ジェルマンに引き継がれ、その息子、銀行家のシャルルに託されます。

シャルルはウージェニー・シャトゥネと結婚しますが、子宝に恵まれませんでした。

 

1888年にシャルルが、1910年にウージェニーが亡くなった後、シャトーは縁戚関係にあるモーリス・ド・ブアール・ド・ラフォレに遺贈されます。

モーリスはシャトーの規模拡大に尽力。

1920年、アンジェリュスと呼ばれていた3ヘクタールほどの土地を買い足し、シャトー・ランジェリュス(L’Angelus)が誕生しました。

Angelusはラテン語でもともと”天使”という意味ですが、

♪Angelus Domini, nuntiavit Mariae~(アンジュラス ドミニ ヌンティアビテ マリエ:主の御使いがマリアに告げました)

という讃美歌が示すように受胎告知を祝い、感謝する祈りをも指すのです。

 

この祈りは朝、昼、夕の日に3回行われ、その際に捧げられるのがこの讃美歌です。

それを決めたのは神聖ローマ帝国。

1456年7月21日、オスマン帝国軍に勝利したことを神に感謝するために時のローマ法王、カリストゥス3世が命じたのが始まりです。

 

祈りの時間を知らせるのは教会の鐘。

そこからAngelusは「お告げの鐘」と言われるようになるのです。

 

モーリスが購入した土地は3つの美しい教会に囲まれていて、祈りの時を知らせる鐘の音が鳴り響いていました。

その様子からこのシャトーはアンジュリュスと呼ばれていたのです。

 

シャトーはその後、代々引き継がれていきます。

現オーナーのユベールは優秀な醸造家でありながら広報にも長けた人物です。

まず、L’Angelusと表記されていたものから冠詞を取ってAngelusにします。

これにより発音しやすくなったばかりか、アルファベット順にリスト・アップされたとき常に、最初に数えられるようになりました。

 

1979年からボルドー大学のパスカルガイヨン教授に学んだユベールが管理し、ミシェルロランをコンサルタントに迎えて徐々にワインを変えていきます。

従来コンクリートタンクで長期の熟成をさせていたところを新樽に切り替え、収穫量を極端に制限します。

このやり方は、新星ガレージワインの世代からインスピレーションを得たようなものですが、それをアンジェリュスなりのやり方でやってのけたのです。

その結果、「これぞ現代のボルドーワイン」と言えるほど色が濃く、滑らかで濃密なアロマのワインが出来上がったのです。

 

2014年にはシャトーをリフォームし、ワイナリーにある鐘は訪れた人の国歌を演奏してくれます。

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