ワイン用語集フランスワインボルドーのシャトーボルドー地方生産者

シャトーダルマイヤックとは?その特徴と歴史

ムートンの醸造チームがワイン造りを行っている

シャトーダルマイヤック(CHATEAU D’ARMAILHAC)は、ボルドーメドック地区、ポイヤック村の北側にある5級格付けのシャトーです。

ラベルに「小さなバッカス(酒の神様)」が描かれています。

メドック格付け5級ながらも品質は高いのですが、度々名前が変更されたため一般消費者にはあまり知られていないシャトーです。

 

しかし近年評価を上げてきていて、高品質で安定的なワインを生産し、ワインファンとしては注目しておいて損のないワインでしょう。

目立たない分お値打ちで、ポイヤックらしい格付けシャトーを、というときは迷わずダルマイヤックをお勧めします。

 

↓の地図を見てもお分かりのとおり、立地はムートンロートシルトの真南で、18世紀以前は一つの畑でした。

1730年ころに畑の一部はブラーヌ伯爵の手に渡り後のムートンロートシルトに、

残りの畑が当時ボルドー議会議長だったドミニクダルマイヤックの手に渡りダルマイヤックとなるのです。

 

色々ないきさつがあって一時期ムートンロートシルトと経営者が同じだった時期があり、この時期に

「元々は同じ畑だったのだから併合したほうがいいのじゃないか?」

という話もあったのですが、ムートン側が足を引っ張られることをおそれて分離したままになったいきさつがあります。

 

ここのシャトーはムートンロートシルトの真南という絶好のロケーションばかりでなく、ポンテカネとも隣接していて場所的には申し分ありません。

ところがムートンロートシルトやポンテカネのような派手な味わいというよりは、エレガントでソフトな知的美を備えた味わいで、これがいまいち評価がほかの二つに劣る理由なのかもしれません。

 

 

 

シャトーダルマイヤック

もとムートンロートシルト


ポイヤック村に本拠地を構えるシャトーで、ムートン・ロートシルトに隣接する素晴らしいブドウ畑を誇ります。

土壌は、氷河期に運ばれた砂利が堆積したものとなり、水はけの良いブドウ栽培に適した土壌となっているので、果実味が凝縮されたブドウが育ちます。

栽培されているブドウの品種は、カベルネソーヴィニヨンが65%と主体ながらも、メルローの比率も高くなっています。

その他には、カベルネフランやプティヴェルドも栽培されています。

ワインは、メルローの比率が高いのでまろやかさと柔らかい飲み口が特徴で、熟成が早いので早くから楽しむことができます。

このシャトーのブドウの平均樹齢は50年となっていて、樹齢が高いからこそ一つの樹に育つブドウの房は少なく、その分ブドウに栄養が行き渡ります。

(部分的に125歳の樹齢のものがありますがこれらはカベルネフランで、順次引き抜かれてカベルネソーヴィニョンに植え替えられています)

そうすると、果実が凝縮されてワインに複雑なコクを増すことができるのです。

↑右側がシャトーで、左を向くと延々とブドウ畑が続きます・・・。

熟成に使う樽はムートンで3年つかったものを使用し、30%の新樽比率で平均16か月の熟成をさせます。

栽培面積は約60ヘクタールで年間18000ケース(216000本)と大ぶりで、そのためお値打ちで、日本のワインショップでも比較的見つけやすいでしょう。

 

ワイナリーの歴史

メドック格付け5級ながらも知名度が低い理由は、何度もシャトーの名前が変わってしまったことにあります。

18世紀、ボルドー議会議長であったドミニク・ダルマイヤックの所有となり、シャトー・ムートン・ダルマイヤックと名乗っていました。

ドミニク・ダルマイヤックの息子のアルマンは子供がいなかったので妹の所有になり、彼女がフェランド家に嫁ぎ、シャトーはフェランド家のものとなります。

しかし、このフェランド家が資金繰りに困窮し、シャトー経営はずさんなものとなり、ワインの表かも地に堕ちた時期が続いたのです。

これを1933年にフィリップ・ド・ロートシルトが買い戻し、同家の所有となり、バロン・フィリップ社の経営となったのです。

 

ロートシルト家はしばらくこのシャトーを運営していたのですが、ワインの品質は上がったのにどうも評判が上がらないことに業を煮やし、名称を変更するのです。

これはダルマイヤックは英語圏の人にすると大変にわかりづらく難しいということと、アルマニャックみたいで混同されたら困るからという理由でした。

1956年にシャトー・ムートン・バロン・フィリップという名前に改称し、1975年には男爵夫人にちなんだシャトー・ムートン・バロンヌ・フィリップと改称されました。

 

そして、いろいろないきさつがあって1989年のヴィンテージより現在の名称であるシャトー・ダルマイヤックに改称されたのです。

これだけ改称されたシャトーも珍しいと言えるでしょう。

さらに厄介なのが、ラベルも元々はスフィンクスが二匹いたのがいつの間にか一匹に、そして現在は酒の神のバッカスへと変貌を遂げています。

現在ワインの醸造は、バロン・フィリップ社のシャトー・ムートン・ロートシルトの醸造チームと同じスタッフが行っています。

名称やラベルがころころ変わるので「経営は大丈夫か?」と心配になる人もいるかもしれませんが、現在の評価はボルドー5級の中ではトップクラスで、安定した酒質の良さを誇っています。

ムートンやポンテカネのような迫力のある味わいではなく、むしろラフィットのようなエレガンスと知的美を備えた味わいです。

日本のワインショップでは若いヴィンテージで8000円~10000円、熟成が進んだものだと15000円前後でしょう。

メルローの比率が高いため飲み頃も早く来ますので、いいヴィンテージのダルマイヤックを見かけたら

「ひょっとしたら掘り出し物かも?」

と物色してみてはいかがでしょうか。