ワインのテイスティングで用いられる第三アロマとは、熟成によって生じる香りです。
第一アロマ、第二アロマに比べてやや理解しづらいので、ここでしっかりと全体像をとらえましょう。
ワインの熟成は、大きく分類すれば
・瓶詰め前の熟成
・瓶詰め後の熟成
の二つに分類できます。
瓶詰め前の熟成とは?
まず、瓶詰め前の熟成を検討しましょう。
瓶詰め前の熟成は、樽熟成かステンレスタンクかの二つに分類できます。
このうちステンレスタンクでの熟成は、ブドウ本来の香りをそのまま生かすために用いられるため、第三アロマはほとんど存在できません。というかステンレスタンクの成分がワインに溶け込んだらダメです。
一方、樽熟成はどうかというと、樽の主原料であるオーク材には樹液や樹脂などの樽成分が含まれています。
それらの成分がワインに溶け出ることによってワインに複雑性をもたらします。
樽熟成からはバニラの芳香成分が強く含まれていますので、それらの香りはワインの第三アロマということになります。
樽熟成による香りには、樽成分の香り以外に参加熟成によるものも含まれます。
例えばシェリーやヴァンジョーヌ、ヴェルナッチャディオリスターノのように長い期間をかけて産膜酵母をつけて熟成させるワインには、強烈なアーモンドのような香りが感じられますが、これも第三アロマです。
さらに、これはステンレスタンクでも木樽でも考えられますが、シュールリー製法といって、酵母の残骸のオリと一緒にワインを熟成させてイーストのような香りをつけることもあります。
ミュスカデやシャンパーニュは酵母の香りが豊富ですが、これも熟成によって生じる香りなので、第三アロマといえます。
瓶詰め後の香りとは?
一方、瓶詰め後に生じる香りはより一層複雑です。
ボルドーの20年前のヴィンテージワインをテイスティングすると、皮のような香りや腐葉土、きのこのような香りが感じられますが、これは瓶詰め後に生じる第三アロマです。
ブルゴーニュの白ワインであれば、瓶熟成によってナッツのような香りやカフェオレのような香りが生まれますが、これは熟成のピークにこそ楽しめる香りといえます。
瓶熟成は、瓶詰め前の熟成に比べると外的環境の影響を強く受けます。
出荷後の場合は、直射日光や急激な温度変化をうけても買い手の自己責任なので仕方ないとも言えますが、これらがあるとワインの劣化は加速し、本来の第三アロマは楽しめません。