バルバレスコ(BARBARESCO)はイタリアのワインの中では、ワインの王の異名を持つバローロに並ぶ人気を誇ります。
生産地域も近接していますし、もブドウ品種も同じなのですが、バローロに比べるとよりバルバレスコのほうが女性的と言われ、バローロの対比から「ワインの女王」とされています。
ただし、実際はバルバレスコも渋味も風味も強く、単体で味わえば女性的というよりは力強い男性的と感じる人がほとんどではないでしょうか。
バルバレスコ
長期熟成型のワイン
バルバレスコは、イタリア北部のDOCG認定地域、ピエモンテ州クーネオ県にあるバルバレスコ村界隈で生産されるワインです。果実味とほどよい渋みのタンニン、長く続く余韻などが特徴です。
ネッビオーロ(NEBBIOLO)種のブドウのみを使い、アルコール度数が12.5%以上、最低26カ月の熟成期間、1ヘクタール当たりの木の本数、醸造方法など、様々な条件を満たして作られたものだけがバルバレスコを名乗ることができます。
また、より長い熟成期間を必要とされるリゼルヴァでは、50カ月もの熟成が必要とされます。
リゼルヴァクラスで50か月の法定熟成期間が求められているということは、それだけブドウのポテンシャルが高く、かつ、生産者への厳しい資産要件を課しているということです。
このワインは、長期間熟成させるとより味に深みが増し、美味しく味わうことができるようになります。熟成期間が短いものを開封するときは、デキャンタを使うなどして空気に触れさせるとよいでしょう。
ワインのブドウ品種
バルバレスコワインには、イタリアの北部で栽培される、赤ワイン用の品種であるネッビオーロのみが使われます。
この種のブドウは非常に栽培が難しく、原産地のピエモンテでさえ、ワイン総生産量の6%を超すことは珍しいと言われています。
ネッビオーロは霧の意味のネッビアが語源となっていて、つまり晩秋の霧が出始めるころまで収穫を待つという意味なのです。
収穫期が遅いということは、栽培期間が長いということです。
そのため病害虫や天候不順などの影響を受けやすく、これが栽培の難しさにつながるのです。
ネッビオーロで造られるワインは、若いうちは紫がかったガーネットの印象が強く、若いうちはタンニンの渋みや酸味が強くでてしまいます。
しかし、熟成を進めていくと味わいが広がり、バラ、スミレ、チェリー、プルーン、トリュフ、たばこ、ダークチョコレートなどを想起させる複雑で深みのある香りや、長い余韻を楽しむことができる高級ワインです。
ネッビオーロのシノニムはリンク先をご参照ください。
意外にも若い歴史
現在では世界中で人気のあるバルバレスコですが、誕生したのは以外にも遅く、19世紀末ごろと比較的最近です。
ミラノの農学部を卒業したカヴァッツァ博士が、バルバレスコにて生産者協同組合を立ち上げたことがきっかけで、「バルバレスコ」という名前で売り出され始めました。
バルバレスコが世界的に有名となったのは、「イタリアンワインの帝王」と呼ばれる、ガイヤ(GAJA)という銘柄による功績が大きいです。
イタリアンワインには、『ガンベロロッソ』という世界的に影響のあるガイドブックがあるのですが、ガイヤはその中で最多の最高評価を記録しています。
もちろんワインの内容が素晴らしいのはその通りですが、ガイヤのワインはその販売力も優れています。
当主のアンジェロガイヤ氏は大変にパワフルでユーモラス、優秀なワイン生産者であると同時に優秀なセールスマンなのです。
バルバレスコに合わせる料理
バルバレスコは渋みや酸味が強く、ワインに溶け込んだ上質な仕上がりです。
香りも複雑で熟成感が出やすく、そのため肉料理の中でも赤身のお肉の料理との相性がいいでしょう。
高級ワインなので、赤身のお肉の中でもジビエのような風味の強い素材をレストランのシェフが丁寧に作った料理は最高のマリアージュでしょう。