ワイン用語集フランスワインボルドーのシャトーボルドー地方生産者

シャトーベイシュベルとは?その特徴と歴史

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シャトー・ベイシュヴェル(CHATEAU BEYCHEVELLE)は、「メドックの小さなベルサイユ」と呼ばれるほどの美しい城を構えるシャトーです。

数多くのシャトーが並ぶメドックにあって最も美しいシャトーの一つとされていて、通りに面して鉄柵と立派な門構えが目を引きます。

 

 

ここのシャトーはご覧のとおりラベルがとにかく変わっていて↓、よく見ると木船の帆が半分降りています。

半分おろした状態のラベルなんて縁起悪いなあと思う人もいるかもしれませんが、これは16世ころのこのシャトーのニックネームから来ています。

16世紀頃にここの城を所有し、住んでいたのはフランス海軍提督エぺルノン公爵という人物です。
 

公爵には1587年に三つのおめでたがあり、今でいうイケイケの絶頂でした。
 

若い妻をもらい、海軍監督に任命され、そしてこのシャトーを手に入れるのです。
 

このころのボルドーの風習で、権力者の領土の前を船が通過する際に忠誠のしるしとして、船はとあるポーズをとらなければならないのです。
 

公爵を尊敬か、半分以上茶化しているのか、敬意を払い、ジロンド河を通る船は城の前で
 

「ベッセ・ヴォワール(baisse-voile 帆を下げよ)」
 

と帆を下げていたことが語源となってこのシャトーの名前になっています。
 
当たり前ですが帆は全部下げてしまうと船は前進しないので半分下げていたのでしょう。

船長さんは「風習なんだから当たり前だ」と思っていたか、あるいは「なんて面倒な風習なんだ」とおもってしぶしぶやっていたのか、どちらでしょうか。

 

日本のサントリーが出資している(発行株式の40%)こともあり、日本人の間でも馴染み深いシャトーでしょう。

1855年格付けこそ4級ですが、同社の経営努力の結果評価は2級シャトーに匹敵するものとなっていて、実際の取引価格も4級のなかではもっとも高価な部類です。

 

 

シャトーベイシュベル

評価の高い4級シャトー

サンジュリアンに本拠地を構えるシャトーは、250haと広大な敷地となりますが、牧草地などもあり、実際の畑面積は90ha(年産47000ケース)となります。

深い小石層の土壌となり、カベルネソーヴィニヨンの栽培に適した土壌となっています。

 

果実とスパイスのアロマが広がる繊細な味わいが特徴のワインを造り出しています。

繊細でまろやかながらも、コクのある力強さも楽しめるワインです。

1986年のヴィンテージは、ロバート・パーカーも過去30年で最良だと絶賛するほどのものになっています。

セカンドラベルは、アミラル・ド・ベイシュヴェルで、主に若い樹齢の木のブドウから造られています。

 

ブドウ品種

栽培されているブドウの品種は、カベルネソーヴィニヨンが60%以上と主体になっています。

メルローも30%ほど栽培され、カベルネフランとプティヴェルドも僅かに栽培されています。

メルローの比率が高いことからもわかる通り全体的にエレガントさが感じられ、かつ熟成が早く進みます。

これがサンジュリアンらしい深みがあって滑らかな渋みのワインに仕上がりやすくさせています。

 

減農薬栽培を行い、2005年にはフランス農水産・環境省によってテラ・ヴィティスの認証を受けており、農薬を最小限に抑えながらも質の良いブドウを生産しています。

 

ワイナリーの歴史

最初にこの場所にシャトーが建てられたのは1565年といわれています。

 

その後17世紀頃からこの土地でワイン造りが始まったものの、フランス革命によって一時は品質が低下し、1855年格付けでは4級となりました。

1875年にアルマン・ハイネの手に渡りますが、この人の娘は金融界の大物のアシール・フールに嫁ぐのです。

アシールフールは動産銀行を設立した人物で、ナポレオン三世の蔵省となって、のちにロートシルト家と死闘を繰り広げた人物です。

その華やかな歴史からか、シャトーは大変に手入れが行き届いていてゲストハウスとしても人気があります。

 

1989年にシャトーは法人化されて、発行株式の60%をGMF保険が所有し、残りを日本のサントリーが所有します。

現在では日本のサントリーが出資して設立したグラン・ミレジムド・フランス社が経営を行い、品質を高めています。

 

日本の企業が保守の権化であるボルドーのシャトーの株主になる、というのは相当な風当たりが予想されますが、サントリーはベイシュベルに先立って1983年にシャトーラグランジュを買収しています。

そこでの苦労を経たからか、経営権の承継はスムーズおこなわれたようです。

単にワイン造りだけではなく、地域の文化振興にも力を入れて、特に新人芸術家の育成に焦点を当て、メドックの文化センターのような役割も担っています。

 

サンジュリアンは、1級シャトーがないため話題に上りづらく、そのため価格もほかの村に比べておさえめであることが多いです。
 
(目立たないけど上質だというイメージは、ブルゴーニュのモレサンドニにも似たようなものがあります)
 
ベイシュベルは品質は安定していて高く、じっくりとうまいボルドーワインを楽しもうというときには自信をもってお勧めできるワインです。
 
4級であるということもあって、いわゆる通好みのシャトーだといえますが、日本のワインショップでも比較的見つけやすいので、こういうワインもあるのだと覚えておいてみてはいかがでしょうか。