ワイン用語集

ビオワインとは?語源はビオディナミ?酸化防止剤は?

ビオワイン(BIO WINE)は、ビオディナミもしくはビオロジック(有機農法)が語源と言われる日本独特のワイン用語です。

ビオロジック→農薬・化学肥料を用いずにできる限り自然に近い状態でワインを造る

ビオディナミ→有機農法に加えて宇宙や月の満ち欠けなどのスピリチュアルな理論を用いた手法

 

ビオディナミは、1990年代後半に日本のワイン界で特に注目され始めた生産手法です。

その後のワインブームを経てビオワインという言葉が用いられるようになりましたので、語源はビオディナミと考える方が多いようです。

しかし、日本ではビオワインの定義が定まっていませんので、ビオディナミかビオロジックかは不明です。

 

ビオディナミやビオワインには、相反する理屈も多く、そのためどうしても排他的になりがちです。

 

例えば

「ビオワイン以外はワインじゃない」

という人もいれば、

「証明しようのない理屈でワインを造っている」

という人もいて、こう極端になるとまさに火中の栗で付き合いきれません。

 

ワインの一番の楽しみをその多様性なのだとすれば、どちらの理論もまずは知ることが重要でしょう。

ここでビオディナミ・ビオワインの全体像を確認したうえでその理論展開を検討してみましょう。

 

ビオワイン・ビオディナミとは?

ビオディナミ

ビオディナミは、おそらく日本のワイン用語である「ビオ」の語源となっていますが、もともとは生力学農法です。

生力学農法はルドルフ・シュタイナ―博士の提唱によるもので、有機農法の徹底に加えて天体と生物の関わり合いを農業に応用する理論展開がその軸となっています。

 

また、ディジョン大学のブルギニョン博士夫妻が研究を重ねて

「いまのまま除草剤や化学肥料、農薬の使用を続けていくと畑の微生物が死んでしまい、砂漠のようになってしまう」

という警告もその流れに拍車をかけるのです。

(ただしこれは前後の流れを読むと、ビオディナミを推奨するものではありませんし、ワイン業界の中でもこれがビオディナミの根拠となっていることには異論があります)

 

批判

地球環境への配慮は最大限にするべきですし、時代の大きな流れといえます。

ただし生産者や専門家にはビオディナミ農法を支持しない人も多く、これは当然でしょう。

天体やスピリチュアルは実験検証ができないことが多いので、懐疑論の噴出は仕方ありません。

ただし後述しますが実際にビオワインでワインの品質が大幅に向上したとするワインも多く、実例を踏まえますと検証や証明がされていないからといって、空想ともいえません。

ここで両者の理論展開を検討してみましょう。

 

まずはビオディナミへの批判です。

ビオディナミへの批判は、もっぱら現実主義者が実験証明ができないものを受け入れることはできない、という理論展開です。

なかには「魔術や祈りでワインがうまくなるのか」という半分けんかを売っているような専門家もいます。

 

例えばビオディナミには以下の理屈がありますが、

・殺虫剤の使用をやめると当初は害虫におかされるが、そのうちにブドウに耐性が備わってくる

・雌牛のふんを雌牛の角につめて土中に埋めて、雨水で薄めて肥料とする

などにはさすがに当サイトも懐疑的です。

 

また、ビオディナミという言葉が独り歩きしたためことさら強調してそれがセールス文句になってしまい、そういうところに限ってワインの品質がいまいちだったりするのです。

 

批判への反論

ビオワインへの批判に対する反論は、感情論を省くと主に以下のようなものになります。

 

原因と結果の検証ができずに、仕組みの解明ができないということをまずは認めたうえで、そのうえでビオディナミを採用するところとしないところに明らかな差が生まれている、ということなのです。

・ぶどうの根の深さと太さ

・有益な有機物の数と生物の多様性

・ブドウの実に付着する酵母の多様性

等はビオディナミ農法によって明らかに優越性が認められるというのです。

 

確かに、ブルゴーニュの超優良生産者はビオディナミを採り入れているところが多く、いまだに科学で証明されていないところがあるにしても全くの無関係とは言えません。

そのため「魔術や祈りでワインがうまくなるか」という中傷は、さすがにピンボケしているのかもしれません。

 

 

 

ビオワインとオーガニックワインの違いは?

前述のように、ビオワインは語源がビオディナミかビオロジックかで争いがあります(というか不明です)。

ただしビオディナミはビオロジック+スピリチュアルなので、

 

「ビオロジックで造ったワインは、ビオワインである」は正解ですが、

「ビオディナミは、ビオワインである」はやや不正解です。

 

わかりづらいですが、まとめますと

 

・ビオロジック製法とは、有機農法から生まれたワインである

・ビオディナミは、ビオロジック+スピリチュアルである

・ビオワインは、語源がビオロジックかビオディナミのどちらかである

 

となります。

 

酸化防止剤は一切使用しないの?

ビオワインのファンの中には「酸化防止剤は悪」というイメージが強く、この考えが話をややこしくさせています。

そもそも酸化防止剤が全く入っていないとワインは流通に耐えられません。

ワインは生のブドウよりもはるかに長い期間をかけて消費者に届きます。

その期間にまったく酸化防止剤を使用しないほうが体に悪いのは想像しやすいでしょう。

 

もちろんじゃんじゃん酸化防止剤を使うのは賛成できません。少なければすくない方がいいでしょう。

しかし、では生のブドウを何か月もかけて流通後、消費者に届いたのであれば不衛生ですし、確実にクレームの嵐になるでしょう。

 

酸化防止剤を使用しないために醸造や瓶詰の段階で徹底的に不純物を取り除いたり、あるいは劣化をされていないブドウだけで造ればワインの劣化は防げるかもしれません。

ただしその結果コストがかかりますので、普及型のワインにはとても無理な話でしょう。

 

では、高級ワインはどうでしょうか?

夢のない話ですが、ロマネコンティや五大シャトーなどの超高級ワインにも酸化防止剤は微量に含まれています。

 

これらのワイナリーは予算が有り余っていますのでどれだけ設備投資をしてもびくともしません。

にもかかわらず酸化防止剤は微量に含まれているのです。

ここからも、酸化防止剤はワインの流通・保存上必要な存在と考えるのが無難なのかもしれません。

(これらの理論は極端すぎるとの自立反発からうまれた理論として、リュットレゾネがあります)

 

ビオワインは二日酔いしない?

「ビオワインだから二日酔いしない」と思うビオワインファンは多いかもしれません。

ただし言いにくいですが根拠がありませんのでそのひとの個人的な思い込みです。

 

二日酔いの原因はアルコールの摂取で、ビオワインにもアルコールは含まれていますので、飲みすぎれば当然二日酔いになります。

また、そもそも二日酔いはその人の体質にもよるものがおおいのでビオワインと結びつけるのはやや乱暴な理論と言えるかもしれません。

 

 

無農薬による栽培や有機肥料を用いる手法そのものは地球の環境にも優しく、現代人の感性としては受け入れられやすい理論でしょう。

しかし、では全く現代の知見・技術を活かした栽培・醸造・保存方法を否定してしまうとどこかに矛盾が生まれます。

そうなると理論のための理論になり、最終的には実態の伴わない机上の空論となってしまいます。

 

現代の技術・知見を活かしつつ地球や人間の環境に優しいワインづくりを追求する、これが本来のビオワインのあるべき姿と言えるのではないでしょうか。

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