
シャンボールミュジニー(CHAMBOLLE-MUSIGNY)は、ブルゴーニュ地方のコートドニュイの中でも女性的でエレガントなワインとされています。
女性的な、と表現されるとおり、全体的に渋みは控えめで滑らか、柔らかい口当たりと美しい外観があり、世界中のワインファンから絶大な人気があります。
ワイン法が施行された1936年に村名クラスがAOCとして認定され、特級畑にボンヌマール(Bonne-Mares),ミュジニー(Musigny)があります。
指定栽培面積は156ha,そのうちプルミエクリュは61haです。
シャンボールミュジニーのAOCでは100%赤ですが、グランクリュのミュジニーの中にほんの一部白が生産されています(ミュジニーブラン)。
残念ですがミュジニーブランは話題性や希少性が先行して品質は価格に追い付いていない感があります。
お金がいくらでもあって好奇心の強い人か、あるいはそれでも飲みたいのだというひと向けのワインかもしれません。
樹齢の若さから格下げしてブルゴーニュブランとしてリリースされていましたが、2016年ヴィンテージからミュジニーブランが復活しています。
平均生産量は6000hl弱、アルコール度数は13.5度~10.5度で、プルミエクリュ以上は0.5度上がります。
格下げのワインはACブルゴーニュ、もしくはブルゴーニュ グランオルディネールになります。
わかりづらいのが、村名のワインとプルミエクリュ、グランクリュに似た名前がありまして、ねんのため確認ですが、
・シャンボールミュジニー→村名クラスのワイン。この村で造られたプルミエクリュ、グランクリュ以外の指定された複数の畑のワインをブレンドしています。
・シャンボールミュジニー プルミエクリュ→プルミエクリュの畑のワインをブレンドしています。特定のプルミエクリュだけで瓶詰めして、その畑を表示することがほとんどです。
・ミュジニー→シャンボールミュジニー村にあるグランクリュの畑のワインです。
ここをまずは押さえましょう。
総論としてこの村のワインはおだやかですが明るく美しい色調とかぐわしい芳香があり、絹のように滑らかで繊細な味わいで、全ブルゴーニュの中でも際立った特色のあるワインであることは間違いありません。
ブルゴーニュワインを飲みなれてすこしたったころに「次はどのようなワインを飲もうか」と思案したときに思い出してみてはいかがでしょうか。
現在のプルミエクリュは以下の通りです。
- Aux Beaux Bruns
- Aux Combottes
- Aux Echanges
- Derrière la Grange
- La Combe d’Orveau
- Les Amoureuses
- Les Baudes
- Les Borniques
- Les Carrières
- Les Chabiots
- Les Char mes
- Les Chatelots
- Les Combottes
- Les Cras
- Les Feusselottes (ou « Les Feusselotes »)
- Les Fuées
- Les Groseilles
- Les Gruenchers
- Les Hauts Doix
- Les Lavrottes
- Les Noirots
- Les Plantes
- Les Sentiers
- Les Véroilles
シャンボールミュジニーは、日本語でもそうなのですが、特に英語圏の人にすると響きがいいらしく、こうなるとネゴシアンが舌なめずりをする姿が目に浮かぶユーザー様もいらっしゃるでしょう。
実際にこの村のイメージである「女性的」という言葉はキャッチーで、ネゴシアンの目玉商品となっていることも多くあります。
ただし、現地のソムリエは冷静で、「見た目のきれいな女性がすべて美しいとは限らない」と用心を勧めます。
つまり、生産者によって酒造りにうまい下手があって、それがこの村には当てはまるということなのでしょう。
極端に価格の安いネゴシアンの村名ワインだと、がっかりすることもあるかもしれません。
Contents
シャンボール ミュジニー
語源
シャンボールミュジニーのシャンボールは、フランス語の古語の”CHAMPUS EBULLIENS(古語なので現在のフランス語と若干違う)”にちなんでいます。
これは、”涌き出る泉”という意味で、この村に目立たない程度に流れる小川があるのですが、これが曲者で時々大洪水を起こしてこの村の地下蔵をだいなしにしていたといいます。
ミュジニーは、11世紀にピエール・グロが自ら所有する土地である”CHAMPS DE MUSIGNEシャンドミュジーヌ”をシトー修道院に寄進したということに由来しています。
地元の公文書保管所にあって明記されてはいるのですが、これが実際に名称の確定理由になるかはあいまいです。
ブドウの品種
ブドウの品種はピノノワール100%で作られます。
ブドウ畑は広くなくコートドニュイのコミューンの中でも広くありません。
生産者も少ないのですが、そのどれもが大変に品質の高いワインを生産していて、これがこの村のイメージを一層高くしているのです。
シトー修道院に属していた歴史ある畑であり、非常に素晴らしい畑なので面積を広げる事なく栽培を続けています。
他の村に比べると石灰質が多い土壌となり、ミネラル豊富なブドウが栽培できるというブドウ栽培に適した土壌だからともいえます。
また、標高の高い位置にあるので酸を保ったブドウを収穫可能となります。
シャンボール・ミュジニーの特徴
華やかさのあるアロマと滑らかな舌触りで、ブルゴーニュの中でも最も女性的なワインとして知られています。
村の北側と南側では味わいに差があります。
北側(地図右側)ではミネラルをしっかりと感じられる丸みがありながらもボディがしっかりとしたワインとなります。
骨格があり、少し男性的ともいえるワインで、色が濃くタンニンも強くなっています。
実際に↑の地図の右端のボンヌマールは力強く長命なワインとして知られています。
一方で、南側(地図左側)では品のあるエレガントなワインが特徴的です。
北部に比べると軽くてソフトな味わいとなります。
中間のエリアでは、南側と北側の特徴をバランス良く併せ持つ果実のアロマを感じられるワインが生産されます。
この村にはそうそうたる生産者が10件ほどひしめき合っています。
高級ワインとして知られるコント ジョルジュ ド ヴォギュエ(よくお金持ちがヴォギュエヴォギュエといっている)もそのうちの一つです。
家族内の内紛が災いして1970年には随分と評価を落としましたが、ロワールの名家ラドゥーセットのパトリックが乗り出して復活し、現在ではブルゴーニュを代表する人気ドメーヌに復活しました。
レザムールーズとミュジニー
シャンボールミュジニーには、特に押さえておきたいワインが二つあります。
一つはグランクリュであるミュジニー、もう一つは世界のカップルたちから絶大な人気のあるレザムールーズでしょう。
まずはミュジニーグランクリュですが、コートドニュイのグランクリュでは唯一赤と白の両方を造ることができるAOCです。
所有者がほぼ4人に限定されていて、その所有権も安定しています。そしてそのどれもが酒造りの名家なのです。
シャンボール・ミュジニーでは以前は白ワインも生産されていましたが、ブドウの木の植え替えによってしばらくブルゴーニュブランとしてリリースされていました。
しかし、2016年ヴィンテージから3樽のみミュジニーブランとして販売が決定しましたが、希少で現在でも幻のワインであることは間違いありません。
ミュジニーグランクリュについては、こちらをご参考ください。
もう一つ、この村の真打といえるワインがレザムルーズでしょう。
村にある泉のほとりで乙女たちが花を摘みながら恋の相談を話し合っていたという言い伝えから、「恋する乙女たち」という意味のある「レザムルーズ」という名前のワインがあります。
優雅で気品のある女性的なワインだからこその言い伝えるでしょう。
この畑は、特級クラスと同等の高品質のブドウを生産する畑と言われています。
レストランでカップルたちが愛を語らいながら楽しむ姿が浮かびます。
レザムールーズについては、こちらをご参考ください。
合わせる料理
ワインショップでもレストランでも、「シャンボールミュジニーのワインをピンポイントで買うお客様」を見逃す手はないでしょう。
あえて割高なワインを買うのですから、ひょっとしたらデートで飲むのかもしれませんし、意中の人へのプレゼントかもしれません。
ひょっとしたらプロポーズを考えているかもしれません。いずれにせよ、何かしらの強い動機があるはずなのです。
ここは素材や味付けもそうですが、見た目や雰囲気にもこだわりたいところでしょう。
恋人と飲むのにぴったりのロマンチックなワインではありますが、味わいそのものはしなやかで深みのある上質な渋みのワインです。
若いうちは酸味がさわやかに感じますが熟成とともに渋みと溶け合い、味わいの完成度が増します。
特に熟成が進んだジャンボールミュジニーであれば、ジビエの中でもシカ肉を都会的にアレンジした赤ワインソースなどのレストランの料理が最高のマリアージュでしょう。
今回は、シャンボールミュジニー村のワインを紹介しました。
歴史的にこの村のワインは女性的である、と表現されてきたため、当ページでも同様の表現をしています。
しかし、「女性らしい」という表現は同時に「”女性らしさとは何か”を押し付けている」という意見もあり、これは個人を尊重する現代社会としては当然のことでしょう。
人の生き方、考えはそれぞれなので、それを単純な性差による表現で「女性的とはこういうもの」「男性的とはこういうもの」と線引きをすることは、当サイトとしては積極的に肯定するスタンスではありません。
時代を鑑みれば、ワインについて女性的、男性的と表現するのはやや時代遅れなのは、その通りでしょう。
当サイトのユーザー様には釈迦に説法ですが、ご留意の上ご理解くださいますようお願いいたします。
こちらの記事もお勧めです。
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