ワイン用語集フランスワイン

シャトーシャロン ワインとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理

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CHATEAU CHALON(以下シャトーシャロン)はアルプスのふもとに位置し、5つの村にまたがるAOCとなります。

天空の城ともいわれる標高の高い位置で生産されています。

黄色のワイン(ヴァンジョーヌ)と呼ばれる白ワインで、最低6年間の熟成期間が義務付けられ、シェリーのような香りを持つ独特の味わいになります。

後述しますが大変なこだわりをもって造られるワインのため生産量はすくなく、日本にはほとんど入ってこないか、見かけても大変に高価です。

 

この地にはシャロンという修道院があり、この修道院の尼僧がサヴァニャン種を持ち込んだと言われています。

本来ハンガリーで生息していたブドウ品種を、この地で改良したことで現在のサヴァニャン種に至ります。

もっとも、「天空の城」とは言っても実際に本筋の意味でいう城ではありません。

ボルドーのような城塞があるわけではないのにシャトーと名付けるのはフランスでは珍しい呼称になります。

 

シャトーシャロンを生産する地方は、ワインにおける微生物の働きを解明したルイパスツールの生まれ故郷です。

 

19世紀ころのワイン造りは、化学的な根拠に乏しく、それまでは微生物の存在は認めていても、自然発生的に(つまり無から有が)生まれるものと信じられていたのです。

 

そこに疑問を持った彼は、周囲の学者の猛攻撃をものともせずに、微生物も生物である以上自然発生はしない(無から有が生まれることはない)ということを完璧に立証するのです。

 

そのパスツールが1858年にシャトーシャロンの近くのアルボワで変質したワインの研究を始めたことが、ヴァンジョーヌが生まれるきっかけです。

 

 

もともとワインは神の仕業で造られると信じられていました。つまりよくわかっていなかったのです。

そこをパスツールなどの化学者の活躍で、この時代に一気にワイン造りは根拠のない迷信から脱出をすることになります。

 

 

シャトーシャロン ワイン

ルイパスツールと19世紀のワイン

シャトーシャロンとは直接の関係はありませんが、関連のある人物としてルイパスツール↑をここで検討してみましょう。

ルイパスツールは1800年代中ころのナポレオン三世のころに、ワインの発酵のメカニズムを解明した化学者です。

この発見に先立って、「アルコール発酵は糖分が炭酸ガスとアルコールに分解する」という理論はすでにラヴォアジェによって明らかになっていました。

しかし、ラヴォアジェの理論展開は、結論はパスツールと同じなのですが、なぜそのような反応が起こるのかの工程が解明されていなかったのです。


このころすでに顕微鏡は開発され、これによって微生物の存在は解明されていましたが、これとアルコール発酵が紐づけられていませんでした。

当時の最新の理屈は、そういった微生物は自然発生する、つまり無から有が生まれるという自然発生説でした。ワインのためにわざわざ酵母は無から生まれてくるという何とも都合のいい存在だったのです。

この常識の中、パスツールは両者を紐づけ、公開し、そして世に知らしめるのです。

 

 

パスツールは真空状態にした73個のフラスコを用意。

これを標高の違う山岳地帯(850~2000メートル)でそれぞれ首の部分を破壊し、そこの微生物の浮遊する空気を取り込み、密閉したうえでそれぞれフラスコ内で培養させるのです。

もちろん、真空のままのフラスコ内には微生物は発生しません。

こうして自然発生説を否定したうえで、酵母菌はどこにでもいるもので、決して人間のために自然発生しているものではない、ということを突き詰めるのです。

周りの村の人からすれば、なんかけったいなことをしているとしか映らないでしょう。

しかしこの実験こそが、いま私たちが飲んでいるワインに大きな影響を与えていたのです。

 

お察しのとおりこの発表は、当初全く世に受け入れてもらえません。親爺さんの登場です。
 
すでに化学の発展は十分に進化し、新しい要素はこれ以上生まれないだろうという雰囲気の中に、
 
「微生物はどこにでもいて、それがアルコール発酵時に活動したまでだ」
 
という理屈は自然発生説を信じる親爺さんには受け入れがたく、おそらく相当な有形無形の攻撃を受けたのでしょう。
 
この反論意見にパスツールは気の遠くなるような実証事件を行い、かつ、その成果の公開講演に時代のあらゆる権威を集め、その前で詳細に説明し、これを認めさせるのです(反対意見者に反論をさせないほどの精緻な理論展開をした)。

 

パスツールの偉業は何もアルコール発酵のメカニズムだけではなく、

・ビールの研究と乳酸菌のバクテリアの発見

・発酵過程におけるグリセリンとコハク酸の産出の発見

・アルボワにおけるワインの病気の解明(ここからワインで有名なパスタリザシオンが解明される)

などもあります。

 

これらの解明によって、ワインは神との完全な決別をし、そして化学嗜好の時代に突入します。

その先陣にいたパスツールが解明したワインと強烈に結びついているのが、今回のシャトーシャロンなのです。

 

ブドウの品種

シャトーシャロンでAOCの認可を得ているのは、ジュラ地方固有種であるサヴァニャンを使用したヴァンジョーヌのみとなります。

1936年にAOCを取得しており、非常に厳しい生産管理の元で栽培されています。

もともと標高が高いため天候のリスクがあり、さらにサヴァニャンは決して病害などの耐性の強い品種ではありません。

そのためサヴァニャンの栽培状態によってワイン製造が行われないこともあります。

実際に1974年、1980年、1984年、2001年はブドウの状態が認められず、ヴィンテージは存在しません。

糖分の上昇が必須のため十分に熟した後の収穫になるので、普通のブドウ収穫よりも遅い時期の収穫になります。

 

 

シャトーシャロンの特徴

シャトーシャロンのAOCはヴァンジョーヌ(VIN JAUNE 黄ワインの意味)とよばれます。

通常の白ワインはリリースしたては緑がかったイエローの色調であることが多いのですが、シャトーシャロンは瓶詰めの段階ですでに緑の色調はなく、完全に黄金色なのです。

瓶詰め前に長期間熟成されることで濃い黄色へと変わっていくのが特徴です。

熟成により強烈なナッツのようなオリエンタルなアロマが特徴的で、とても繊細な味わいと樽熟成が由来の軽いタンニンが感じられるワインとなります。

造り方も独特で、通常のワインと同様に発酵させた後木樽に移されます。

そこで低温で空気に触れさせて酸化させながら、最低6年熟成させます。

この工程で産膜酵母↓が発生し、酵母により引き出される独特な香りが合わさります。

継ぎ足されることがないため(ウイヤージュをしない)、その量は3分の1程度にまで減ってしまうため希少なワインとなります。

 

このやり方はスペインの南部のシェリーとほぼ同じ手法で、はるばる遠いこの地でぽつんと同じようなワインがあることに違和感を感じます。

 

これは仮説ですが、シャトーシャロンは山間に位置するため流通手段に乏しく、できる限り長持ちするワインを造ろうとしてあみだし、
 
シェリーは海寄りなので長い航海に耐えうるように酒質を強化して仕上げるうちにできあがったのかもしれません。

 

現代の経済活動でワインを6年間熟成させることはどれだけのリスクを伴うかは想像しやすいでしょう。

今造っているワインが売れるのは6年後だと考えると、新進気鋭のワインビジネスマンは絶対に手が出せません。

つまり、それだけ気合の入った生産者が取り組んでいるのです。

 

 

 

相性の良い料理

ナッツ系のアロマと、透明感ありながもスパイシーさもあるシャトーシャロンはチーズとのマリアージュが最高です。

特にこの地方のハードタイプのチーズと相性良くなっています。

また中華料理やエスニック料理など、香辛料の効いた料理と合わせも楽しむことが出来ます。

もっとも、高価なワインですし、よほどのことがない限り料理と合わせるよりもワイン単体で楽しむことが多いものでしょう。

 

もっとも、日本ではほとんど入ってくることのないワインですし、見かけたとしてもスペインのドライシェリーのほうが圧倒的に安く、価格ではとてもかないません。

そのため旅行に行かれた際に地元でいただくか、日本でいただくにしてもこういうワインもあるんだというおおらかな気持ちで飲むのが一番かもしれません。

ジュラ地方というと、フランスのへき地のようなイメージがありますが、実際にはブルゴーニュからも100㎞ほどしか離れていなくて、観光地化されていない分、隠れた穴場かもしれません。

お時間が余って数日あるな、というときにお寄りいただき、きりっと冷えたシャトーシャロンをいただいてみてはいかがでしょうか。


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