
シャトーシュヴァルブラン(CHATEAU CHEVAL BLANC)は、サンテミリオン地区ではオーゾンヌとともに第1級特別Aの最高ランクの格付けを与えられているワインを作り出すシャトーです。
1862年と1878年にはパリのワインコンクールで金賞を獲得し、ラベルにも金賞メダルが描かれています。
サンテミリオン地区ではオーゾンヌとこのシャトーは、ほかのシャトーとは別格の扱いで、価格もメドック1級と同程度で取引がされています。
このシャトーはサンテミリオンの西側のはずれに位置していて、サンテミリオンというよりポムロールに近い性質を持っているといわれています。
ことにシャトーレヴァンジルやラコンセイヤントとは地続きで、シャトーも醸造所も目と鼻の先です。
オーゾンヌが”丘物ワインの雄”だとすればこちらは”砂利・粘土畑の雄”で、言葉だけをイメージするとはずれくじを引いたような気になります。
しかしワインは右岸を代表する品質を誇り、ことに2000年以降の品質の向上は目覚ましく、世界トップの品質を誇ります。
オーゾンヌとの比較はよくされますが、一番の違いはシャトーの規模で、オーゾンヌは栽培面積が約7ヘクタールに対してシュヴァルブランは40ヘクタール弱あります。
そのため日本のワインショップでもオーゾンヌは置いてなくてもシュヴァルブランは置いてあるというところは多いです。
価格は高価ですが、ヴィンテージを選べば6万円台で購入できるため、メドックの1級に比べればまだ控えめといっていいでしょう。
シャトーシュヴァルブラン
別格扱いのサンテミリオンの雄
サンテミリオン地区のポムロールとの境界線付近の「サンテミリオンの砂利」と呼ばれる場所にシャトーを構えています。
名前の通り、サンテミリオン地区の中でも珍しく砂利の多い土壌となっていることが特徴的です。
周辺シャトーと違ってメルローよりもカベルネフランを多用しており、エキゾチックなスパイスや華やかで滑らかな口当たりが魅力です。
「ボルドーで最も深遠なワイン」と評価されるほどで、ビロードのようなタンニンと味の調和は極上品とされています。
サンテミリオンでは、メルローを主体として栽培しているものの、シャトーシュヴァルブランではカベルネフランを主体としています。
カベルネフランが55%を占め、メルローが45%という構成になっているのは、砂利が堆積した土壌のためカベルネフランの栽培に向いているからです(年によって比率は若干違う)。
ワインの品質を高めるために、厳しい収穫制限によって僅かな量しか生産されません。
醸造は伝統的な方法を用いており、場合によって低温マセレーションが行われます。
ワイナリーの歴史
シュヴァルブランはオーゾンヌに比べると歴史は浅く、1832年にもともとフィジャックの一部だった土地がデュカス家に売却されたことから始まります。
その後にローサック家に所有が移り、同家のジャンが陣頭指揮を執ります。
シュヴァルブランの名前もジャンが命名し、その昔いつも白馬に乗っていたアンリ4世がパリから故郷に帰るときにこの辺りに宿泊をしていたところに由来します。
その後にジャンの息子のアルベールが継ぎ、そのアルベールの孫娘の婿になったのがジャック・エブラールで、このひとの父親がまた豪傑なのです。
この人の父親はいわゆる海の男で、海軍航空隊に入り大西洋横断飛行までやってのけ、のちに海軍大臣にまでなるります。
その関係でフランス民間国内航空会社(現在はエールフランスに完全に買収されている)の創始者になるなどの実績を誇る名家なのです。
その息子のジャンは、そのような家系からか発展家で、いったんは海軍にはいるのですが戦時中重傷を負いアフリカで長く居住し、この時にブドウ園経営学を学び、そしてシュヴァルブランを任されるのです。
そのような人だから精力的に改革に取り組み、醸造所やゲストハウスなどを刷新し、品質向上に努めた結果、現在の名声を築くのです。
ジャンの実績はシュヴァルブランだけにとどまらず、サンテミリオンのワインの名声向上に多大に影響し、左岸のジャン・ミッシェル・カーズと同じように右岸のドンとなるのです。
ただし、その存在があまりにも大きかったからか、1989年に引退するとその後は1990年代後半までやや評価を落とします。
シャトーは長く家族経営によって繁栄してきましたが、1927年にシュヴァル・ブランとして会社組織となって、1991年にはピエール・リュルトンに経営を任せることになりました。
そして1998年からワインコレクターでもあるアルベール・フレールとルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー(LVMH)社の社長であるベルナール・アルノーが共同所有しています。
1998年にワインアドヴォケイトで100点を出すと、その後は右岸きっての名シャトーとしてオーゾンヌとともに確固たる存在感を誇っています。
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