ワイン用語集フランスワインボルドーのシャトーボルドー地方生産者

シャトーコスデストゥルネルとは?その特徴と歴史

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メドック格付け2級の赤ワインを産み出すシャトーコスデストゥルネルは、1級シャトーに引けを取らないスーパーセカンドとして注目されています。

シャトーのオーナーは変わり続けたものの、優秀なワインの味は変わらないまま引き継がれています。

 

↑の写真のようにコスデストゥルネルのシャトーはパゴダ塔のついた東洋風の建物で、ラベルのデザインにもなっています。

第二次大戦中はここがドイツ軍の高射砲陣地になったためボロボロになりましたが、現在では見事に改修されています。

 

後述しますがこの東洋風のシャトーはメドックの中でもとびぬけて変わっていて、目を引きます。
 
「変わり者に歴史あり」
 
おそらく最後までお読みいただければ、きっとそういうものだとうなづいてくれるでしょう。

 

 

↓の地図を南下させるとわかりますが、このシャトーはラフィットと地続きになっていて、その境界がブリュイユの小川で窪地になっています。

そのため排水がよく、またサンテステフとしては砂利が多く、これがワインに高い完成度を与えているといわれています。

シャトーコスデストゥルネル

シャトーの全体像

このシャトーはサンテステフに本拠地があり、ラフィットロートシルトを見下ろす位置にあります。

コスは「小玉石」という意味があり、名前の通りの水はけに恵まれた砂利の多い丘に畑があります。

もともと南部の大地主エストゥルネル家のものだったのでこのような名前になりました。

 

畑面積は64.8haで、2級のシャトーとしては大ぶりといえます。

現在はオーナーがミッシェル・レビエとなり、息子のラファエル・レビエがシャトーのチームに加わっています。

 

サンテステフでは珍しくメルローの比率が高く、そのため柔らかい口当たりのワインになります。

熟成させることで、スパイスや革の混ざったアロマとなり、しっかりとしたタンニンが感じられるようになります。

セカンドラベルは、レ・パゴドゥ・ド・コスです。

 

ブドウ品種

  • 60%

    CABERNET SAUVIGNON

コスデストゥルネルで栽培されるブドウ品種は、カベルネソーヴィニヨンが6割を占め、メルローと僅かですがカベルネフランも栽培されています。

メルローが多いということは、それだけ熟成が早く進む、ということです。

おおよそ収穫から7~8年での見頃になり、その後に10年程度は最高の状態を保ちます。

シャトーの畑は水はけの良い土壌で、石灰石と砂利の多い土壌は最高のブドウを産み出す環境となります。

このシャトーの所有する畑には20種類ものタイプの土壌があるといわれており、区画ごとに栽培が変わるので、ワインの複雑味へと繋がります。

ブドウは全て手摘みによって収穫され、2度の選定が行われます。

 

 

東洋帰りのワイン

初代オーナーであったルイ・ガスパール・デストゥルネルは出色の人物でした。

出色といえば聞こえはいいのですが、ちょっとした変わり者で、ワイン造りのみならずアラブの馬をフランスに輸入する商売も営んでいたのです。

 

あるときガスパールがはるばる東洋に自分のワインのコスデストゥルネルを売り込みに行きます。

しかし商売はさっぱりで売りそこなったワインを持ち帰り、試してみるとこれが絶品でした。

売れ残ったコスデストゥルネルは熟成が進み、ガスパールもびっくりするほどの品質になっていたのです。

 

「これはうまい。絶対に商売になる。」

と売り出したところ、”東洋帰りのワイン”のキャッチコピーもあってか、大いにウケて売れまくるのです。

 

大儲けしたガスパールは儲けついでに一つのアイデアを思い浮かびます。

「東洋帰りのワインだったら、シャトーも異国情緒あふれる東洋風にしてみよう」

というのが事の成り行きで、20年かけてシャトーを現在の東洋パゴダ塔にするのです。

これが出来上がってみると強烈なインパクトでした。

伝統的で保守の権化のようなボルドーのワイン界では相当な風当たりだったのですが、ガスパールは馬耳東風をきめこむのです。

ワイン自体は素晴らしいのだから、シャトーが一風変わっていてもいいじゃないかということでしょう。

現在ではメドックのシャトーにも馴染み、訪れるゲストを楽しませています。
 

1852年にシャトーを銀行家であったマルティンスへ売却し、1855年にはサンテステフで最上位の格付けとなりました。

その後、1869年にはスペイン出身の貴族エラーズ家に譲られ、1889年にはオスタン兄弟が所有しました。

更にフェルナンド・ジネステに譲られたり、アンジェル・モヤノに売却されましたが、2000年に現所有者であるミッシェル・レビエに売却されました。

 

いまだにこのシャトーはラベルにパゴダ塔を誇っていますが、おそらくそれだけインパクトのある儲けっぷりだったのでしょう。
 
コスデストゥルネルは、品質も評価も高く、そのためおいそれと飲める価格ではありません。
 
もしお飲みのチャンスがあるときは、ラベルのパゴダ塔を眺めながら、歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
 
ガスパールが東洋出張で敗北し、うなだれて売れ残ったワインを飲んだ時の起死回生の表情を思い浮かべながら味わえば、きっと一味違ったものになるでしょう。