
コトーシャンプノワ(COTEAUX CHEMPENOIS)は、シャンパーニュ地方で生産されているAOCワインです。
シャンパーニュ地方ではほぼ100%がシャンパーニュ(=スパークリングワイン)の生産となっている中、非発泡性(スティルワイン)の珍しいワインとなっています。
生産量も少ないので、希少価値の高いワインと言えるでしょう。
1974年にAOCに制定されますが、スパークリングワインで世界的な名声を得るほどの土壌の良さがあるため、スティルワインでもいいワインができないはずがありません。
実際に酸味と果実味がじつにまとまった上質な仕上がりで、きりっとした口当たりの世界に誇るワインといえます。
19世紀の前半まではブルゴーニュワインのライバルとされるほどの知名度を誇りました。
しかし、シャンパーニュの台頭により、優秀な生産者や栽培農家であれば当然スティルワインから生産を切り替えるのが人情でしょう。
儲かるとわかりきっているシャンパン造りをしないでスティルワインを造るけったいなひとはなかなかいないのです。
そのため現在は小さな生産者が細々と地元消費用として造っているくらいの規模となってしまったのです。
年間生産量が3億5千万本にもなるシャンパーニュに比べると明らかにわずかな生産量で、栽培限界の関係から、多くのワインはヴィンテージを記載しないで複数年をブレンドします。
なお、このワインの特徴として、ぶどうが栽培されたコミューンを記載することが多いです。
コトーシャンプノワで有名なのは赤のブージー(BOUZY)ですが、実際に生産されているコミューンは以下のとおりです。
Ambonnay
Aÿ
Bouzy
Cumières
Mailly
Oeuilly
Riceys
Sillery
Verzy
Vertus
日本で見かけることのできるコトーシャンプノワで、大手メゾンのものといえばおそらくボランジェのコトーオーザンファンくらいかもしれません。
昔、子供(アンファン)だけが働くことを許された畑で採れたブドウだとのことでこの名前がついています。
大手のボランジェであってもこのコトーシャンプノワに充てられた畑は何と1ヘクタール未満!
そりゃ見かけないわけです。
コトーシャンプノワ
ワインの全体像
コトーシャンプノワのコトーは、「小さい丘」という意味があり、シャンパーニュの小さい丘という名前です。
フランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されており、冷涼な地域でブドウが栽培されています。
冷涼な地域だからこそ、酸味の強いブドウが収穫されるため、ワインもその酸味を感じることができます。
ブドウ畑は、石灰岩土壌と泥灰土のため、ミネラルが豊富なブドウに育ちます。
赤・白・ロゼが生産されていて、ブドウ品種はシャンパーニュ同様のものが使用されています(白はほとんどない)。
白ワインにはシャルドネを使用し、赤ワインとロゼにはピノノワールとピノムニエが使用されます。
非常に生産数が少なく、希少価値が高いので「幻のシャンパーニュ」とも呼ばれています。
ワインの味わい
白ワインは、色は淡く、アーモンドのようなシャルドネらしい香りが立ちます。
きりっとした酸味がしっかりと感じられながらも、果汁感のある味わいが楽しめます。
アロマは甘く香るのに対して、味わいは酸味とスッキリ感のあるギャップが特徴的です。
赤ワインは、繊細なタンニンとミネラルを感じられ、赤い果実(特にイチゴ)のアロマが広がります。
上品な酸と洗練されたミネラルのバランスが絶妙な味わいです。
赤のコトーシャンプノワはそれほど量は造っていないし、造っても地元消費で終わってしまいます(ただしブージーの赤は以前ブルゴーニュと張っていた)。
もともと通好みのワインですので、シャンパーニュ地方に旅行に行った際はぜひお試しください。
飲み方のコツ
コトーシャンプノワはスティルワインですが、発泡性のようにキャップシールで封されています。
キャップシールを剥がすと、コルクには留め金が食い込むようについています。
外す際には、ナイフを用いて抜栓しましょう。
赤ワインは、やや冷やし気味に設定し、12~16℃くらいでサーブするといいでしょう。
肉料理と合わせると素晴らしいマリアージュとなります。
渋味が強くなくて、かわいらしい口当たりのワインなので、例えば豚肉のローストにキイチゴのフルーツソースを添えたような料理が最高です。
白ワインやロゼも同様に冷やして飲むことで、旨みをより感じられるようになります。
コトーシャンプノワは、生産量の少なさも相まって、日本ではほとんど見かけることがありません。
そのため見かけたとしてもどうしてもコストパフォーマンスは目をつぶるところが出てきてしまうでしょう。
要するに割高に感じるということです。
そのため、シャンパーニュ地方に旅行に行くときか、日本で飲むときも目的がはっきりしていることがほとんどでしょう。
できれば基礎知識を得て、気分を盛り上げて飲みたいワインといえます。