ワイン用語集自宅で楽しむワイン

ワインのデキャンタ―ジュ|理由と目的、その効果

高級レストランでワインをボトルで注文すると、赤ワインですと「デキャンタ―ジュしましょうか?」と言われることもあります。

1990年代に始まったワインブームはソムリエブームでもありましたので、ソムリエコンクールの決勝戦でデキャンタ―ジュが実技されたことから「デキャンタ―ジュこそワインサービスの最高峰」ととらえられることも多いです。

しかし、冷めた言い方をすればデキャンタ―ジュはワインを別の入れ物に移し替えるだけの作業なのであまり大騒ぎをすることではありません。

 

移し替える作業だとはいえ、デキャンタ―ジュにはさまざまな効果があります。

ここで検討してみましょう。

 

ワインのデキャンタ―ジュ

本来の目的は?

デキャンタ―ジュはもともとワインの底に沈殿する澱とワインを分離することが本来の目的です。

ワインは品質によって、熟成させることで瓶の底の部分に↑の画像のような澱(オリ)が発生します。

澱はタンニンとか色素成分が熟成によって不溶性となって液体の下部に沈殿したものです。

これをこのままグラスに注ぐと見た目にもきれいではありませんし、舌触りにも影響します。

これを分離する目的でデキャンタ―ジュをするのです。

↑の画像のように、ワインの口の部分にろうそくを当てていますが、このようにして明るくして見やすくさせ、澱が混ざるギリギリで移し替えるのを止めるのです。

 

澱は色が濃いワインに生まれやすい

では、具体的にどのようなワインがデキャンタージュに向くのでしょうか?

まずは赤ワインであることです。

白ワインでもデキャンタ―ジュをすることがありますが、ややテクニカルに走りすぎな印象があります。)

前述のように澱の成分はタンニンや色素成分(部分的にたんぱく質)ですので、もともとこれらの成分が多いと澱は発生しやすくなります。

具体的には、ボルドーや南フランスなどの日照量のおおい地域のワインといえます。

また、通常はリリースしたては澱はあまり見かけませんので、ある程度熟成をさせたワインに澱は発生します。

通常は10年程度熟成させないと澱は発生しません。

そのため、色が濃いワインであっても熟成に耐えうる酒質がないといけませんので、それなりに高価なワインということになります。

 

酸化促進の目的

また、ワインは空気に触れることで香りが華やぐ性質があります。

特に高級なワインは本来の香りが閉じていることもあり、それがデキャンタ―ジュをすることで一気に開花するのです。

(この目的で白ワインもデキャンタ―ジュをすることがあります)

ただし、酸化促進はやりすぎても逆効果です。

空気に触れさせすぎてもワインの酒質が疲れてしまいますので、一回のデキャンタ―ジュで十分でしょう。

 

高級感の促進

これは心理的な効果が強いと思いますが、やはり高級感を引き出すという効果は高いです。

ボトルからそのまま注ぐよりも、デキャンタ―ジュをして高級なデカンターに移し替えることで高級感は演出されます。

「デキャンタ―ジュをするほど大事に扱われたワインなんだ」という心理は味覚を鋭敏にさせ、結果としてワインのおいしさが増すように感じられるのです。

酸化促進をすることでワインは華やかになると説明しましたが、実際に比べてみても明らかな違いというのはプロでないと判別が難しいでしょう。

その意味で言えば、高級感は一般の方にもわかりやすいですし、こちらのほうが効果は高いといえます。

 

白ワインのデキャンタ―ジュ

では、数は少ないですが白ワインのデキャンタ―ジュはどのような目的があるのでしょうか?

白ワインは澱は発生しないと思われることもありますが、実際にはクリスタルのようなオリが発生することがあります。

これは赤ワインの澱とは成分がちがって、ほとんどは酒石酸が結晶化したものです。

キラキラしているので見た目には逆にきれいという見方もできますが、これを取り除く目的で白ワインをデキャンタ―ジュすることがあります。

また、白ワインの場合、本来の提供温度よりも低すぎる温度で管理している場合にデキャンタ―ジュをすることで温度を上げて提供する、という目的もあります。

例えばブルゴーニュの特級ワインが8度で保管されていた場合、本来であれば10~12度程度が好ましいのですが、これを一気に温度上昇させる目的でデキャンタ―ジュするのです。

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