
シャトーデュアールミロン(CHATEAU DUHART MILON)は、ポイヤック地区を象徴するとも言われる味わいのワインを生産するシャトーです。
複雑な味わいながらも芳醇な果実味を楽しむことができます。
ラベルのデザインがラフィットロートシルトと似ていて、間違える人もいるかもしれません。
後述しますが実際にラフィットと密接に関係があって、過去にはラフィットのセカンドワインとも言われていました。
4級ということもあってあまり注目されているわけではありませんが、古くから高品質なワインとして認められています。
(ポイヤックでは唯一の4級シャトーです)
ポイヤックのシャトーは、兄弟分がおおく、セットで考えたほうが理解しやすいでしょう。
こちらのシャトーは畑がラフィットとムートンの西側の地続きにあって、現在でもブドウ栽培から醸造熟成までをラフィットロートシルトが行っています(ワイナリーは川沿いにある)。
ロートシルト家が買収した1962年時は評価も落ち、畑はわずか16ヘクタールほどの惨めなものでした。
これを所有権が移転すると即、財を尽くして醸造所もシャトーも一新。醸造長を首にしてぶどうの樹はひっこ抜き植え替えを断行します。
さらに樽はラフィットのお古を頂戴するまでになるのです。
そうなると普通であれば「ラフィットと同じようなワインになるのではないか?」と考えるのが普通でしょう。
しかし、これがワインの面白いところなのですが、地続きで造りも同じなのに、出来上がりの味わいは全く異なっています。
1級と4級だからか、考えてみれば当然なのかもしれませんが、ラフィットが高地にあるのに対してこちらは低地で、その差が味わいに影響を与えているとされています。
チャンスがあってラフィットを飲む機会があれば、贅沢ついでにデュアールミロンも試してみるのもいいかもしれません。
シャトーデュアールミロン
二つのラフィット
デュアールミロンは、もともと18世紀初頭にワインの王子と呼ばれるセギュール公爵が、ラフィットの隣の畑を購入をしたことに始まります。
しかし1937年に相続問題でもめにもめ、25年のうちになんと5つの所有者に分割されるまでになります。
さらに1956年の霜害で畑は壊滅的な状態にまで追い詰められた経緯があります。
しかし前述のようにロートシルト家の改革によって徐々に評価を取り戻し、現在では4級の中でも安定した品質を誇り、ヴィンテージによってはさらに上の評価の時もあります。
現在、総面積は152haとなり、その内ブドウ畑は76ha、生産量は年産28000ケースととおおきめなシャトーでにまでなりました
土壌は砂利混ざりとなり、下層は石灰質となっているためミネラル分の豊富なブドウが育ちます。
ワインの特徴はベリー系の熟した果実のアロマと、繊細でエレガントながらも豊かなアタックです。
深いルビー色のワインは、複雑ながらもバランスの取れたフルボディのワインとなります。
セカンドラベルは、シャトー・ムーラン・ド・デュアールです。
ワインのブドウ品種
栽培されているブドウの品種は、カベルネソーヴィニヨンが主体となり67%を占めています。
残りはメルローとなり、メルローの比率が高いことからも全体的にエレガントな仕上がりです。
平均樹齢は30年です。
ブドウの栽培方法から熟成方法まで1級のシャトーラフィットと同じ手法が用いられています。
ブドウは手摘みで収穫され、厳格に収量管理されています。
また、熟成に使用する樽は、ラフィットで一度使用した樽を用いています。
ワイナリーの歴史
18世紀からこの土地ではブドウ造りが始まり、1830年代にカスティジャ家がデュアール未亡人から畑を受け継ぎ、デュアールミロンと名付けたことがシャトーの始まりになります。
1855年の格付けでは4級に認定され、ポイヤック地区最大のシャトーとなっていました。
しかし、凍霧害やブドウ畑の区分け変更の影響を受け、ワインの品質は低下し、シャトーは衰退していきました。
1962年にロートシルト家が購入したことで設備を一新し、畑に大規模な修繕工事を加え、高品質のワインを産み出すシャトーに生まれ変わったのです。
そのころは栽培面積も16ヘクタールほどに減り、醸造所やシャトーも惨めなものでしたが、ロートシルト家の努力で一新したといっていいでしょう。
40年の歳月を掛けて復興させ、2003年以降には素晴らしいヴィンテージとされるワインを排出するようになり、最近では品質が安定しています。