ワイン用語集フランスワインボルドー地方

アントルドゥメールとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理

アントルドゥメール(ENTRE-DEUX-MERSアントル ドゥ―メールともいいます)はボルドー地方の中でも、ガロンヌ川とドルドーニュ川の間にある広大な地域です。

赤ワインが多いボルドーの中でも珍しい白ワインの産出地となり、比較的安価なのでお手頃にボルドーワインを楽しむことができます。

日本のワインショップでも1000円台から売られていて、ソーヴィニヨンブラン種の個性がよく出た柑橘系の香りとかわいらしい酸味が心地よい辛口白ワインです。

産地の区分としてはボルドーではありますが、高級なイメージのボルドーの中にあって、ビストロやカフェで愛飲される気軽なワインです。

価格的にも味わい的にも毎日でも楽しめるデイリーワインで、さっぱりとした日本の食卓にも合わせやすいので一度お試しください。

 

ボルドーというとどうしてもメドックとかサンテミリオンがなじみがいいのですが、ボルドー全体をここでとらえてみましょう。

ボルドーは↑の地図のように、まずは右上のLA DORDOGNE(ドルドーニュ川)とその下のLA GARONNE(ガロンヌ川)があって、それが合流して左上のLA GIRONDE(ジロンド川)になります。

この三つの川は結構な大きさで、特にジロンド川はパッと見ると対岸は見えないし、海のように感じるのが普通の感覚でしょう。

それだけ広大な面積なのですが、実際にワインの銘醸地として知られているのはほんの少しのエリアだということがこれでお分かりだと思います。

 

この地図を見てもお分かりのとおり↓、ポイヤックサンテミリオンではこれだけ離れていて、そうなると同じボルドーとひとくくりにするのがいかにおおざっぱかということがわかります。


いわゆる”左岸”と呼ばれるメドックグラーヴと、”右岸”と呼ばれるサンテミリオンやポムロールは、実際には川をふたつ隔てているので一般的なイメージの右岸左岸の関係とは若干違うのです。

 

今回はこの二つの大河の間にある三角地域にフォーカスをしていますが、お察しのとおりパッとしないし、銘醸地に挟まれているため不憫な扱いを受けているといっていいでしょう。

 

生産者自身もそれは自覚していて、アントルドゥメールでは知名度が低いのでラベルで斬新さをアピールしたり、(一緒に食べたらおいしいだろう)魚を描いたりして工夫しています。

 

これは気軽に楽しんでもらおうという努力で、今のところマーケットで大きく成功しているとは言えませんが、中には価格の割におっとおもうようなワインもあります。

 

日本のワインショップやスーパーでも見つけやすく、1000円程度で買えるので、思い出したように試してみてはいかがでしょうか。

 

アントルドゥメール

地区の全体像

前述のようにアントルドゥメールは2つの大河の間にある中州に位置しているため、

 

「2つの海の間」 entreアントル(~のあいだ)deux mersドゥ―メール(二つの海)

 

という意味の名前であるアントルドゥメールが地名となりました。

AOCのブドウ畑もこの中州である三角地帯で造られており、非常に広大な土地にブドウ畑が点在しています。

広大な土地なので、土壌も場所によって違いがあります。

ドルドーニュ沿岸は粘土質の石灰土壌になっているものの、三角地帯の中央部は二酸化ケイ素を多く含む白ワイン用ブドウを育てるのに整った環境になります。

また、南側の斜面は石灰岩質と砂利がまざっています。

もっとも、面積上は広大なのですが、ブドウ畑は固まっていないで森や林、野菜畑や牧場のあいだに点在しています。

 

だだっ広い面積のなかに中小の零細企業や家族経営の畑が無数にあって、これをうまくまとめるにはやはり協同組合がものを言わせるのです。

 

昔はほとんどのワインは生産者が持ち寄りで造ってそれをネゴシアンに売り渡していたのですが、1960年代以降協同組合化が進み、現在ではほとんどの農家が協同組合の傘下に入っています。

 

その流れの中で、野心にあふれる生産者もいて、それらは協同組合でなくて積極的に自家醸造をしていて、それらが華を開きつつあります。
 

近代的な醸造設備を整えて、銘醸地で修業したひとここにが腰を落ち着けて品質と向きあうところもでてきました。

 

 

ブドウ品種と出来上がるワイン

ブドウ品種はソーヴィニヨンブランを主体とし、セミヨンミュスカデルなど用いて白ワインが造られています。

全体的に価格がボルドーの中でも安価となっており、辛口白ワインだけがアントルドゥメールのAOCとして認められています。

(赤や甘口の白はグラーヴドヴェール、もしくはサントフォワボルドー、もしくは単なるボルドーやボルドーシュぺリュールなどになります。)

 

20世紀後半から近代技術を導入するようになり、白ワインの質が向上し、フレッシュで質の高い白ワインが造られるようになりました。

この地域の白ワインは収穫から1~3年ほどの若のみタイプが中心となり、口当たりの軽さから飲みやすいワインになっています。

 

また、アントルドゥメールは近接地区でAOCがあり、グラーヴ・ド・ヴェールや、サント・フォワ・ボルドーもそれぞれのワインを産出しています。

ただし、並質で日本で見かけることはほとんどないため、重要性はいまのところ小さいといっていいでしょう。

 

ワインの歴史

アントルドゥメールは、元々はブランデー用の蒸留用ワインの産地として発達し、ここで造った安ワインを蒸留しボルドー港から運び出すというビジネスモデルでした。

しかし生産者側はスティルワインへの愛着を捨てきれず、ブランデー向けにもスティルワインにも合わせられるというスタンスで造り続けるのですが、これがユーザーには中途半端に映ったのかもしれません。

こうなると、コニャックアルマニャックなどの蒸留向けに本腰を入れたシャラント地方にはどうしても及ばず、次第にアントルドゥ―メールはスティルワインへとかじを切り、現在に至るのです。

 

この地域は、個性豊かなワインは産出されていないものの、1960年以降に協同組合化が進んだことでワインの質が向上されることとなりました。

低温発酵などの近代的な醸造技術が用いられるようになったため、一部白ワインの質が高くなり、フルーティーでフレッシュな辛口白ワインが生産されるようになったのです。

 

合わせる料理

アントルドゥメールは軽やかで柑橘系のアロマが心地よいワインです。

ミュスカデのように「少しレモンを搾ったらおいしそうだ」という料理にぴったりです。

例えばカジキマグロをグリルしてこがしバターソースを添えた料理などは考えただけでも最高のマリアージュでしょう。

 

また、価格的にも味わい的にも日本の食卓には合わせやすく、特に居酒屋などの日本料理にはピッタリはまるワインといえます。

 

 

例えば新鮮な魚介類を豪快に焼くような居酒屋を想像してみてください。

目の前でハマグリやホタテがぐつぐつと音を立てて、今にもかぶりつきそうになりますよね。

じゅっとレモンを絞りたくなりますが、これをアントルドゥメールの酸味と柑橘系の香りで楽しみましょう。

きっともう一口食べたくなり、もう一口飲みたくなる、そんなマリアージュになることを約束します。

 

「居酒屋なんだから、だまってビールを飲ませてくれよ」

まあ、そんなことを言わずに、きりっと冷えたアントルドゥメールを一度試してみてはいかがでしょうか。

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