シャトードフューザルは、ジロンド県グラーヴ地区レオニャン村に位置しています。
メドックならば第4級に相当するという評価の赤ワインのみが格付けされていますが、近年になって白ワインも造られ始め、高い評価を得ています(白は格付外)。
畑の作付け割合はカルベネ・ソーヴィニヨンが60パーセントを占め、メルロが35、カルベネ・フラン、プティ・ヴェルドが数パーセントずつ。
メルローの比率が高いため、熟成が早く進み、ジビエなどの鉄分の多い料理にも合わせやすくなります。
白ワイン用はソーヴィニヨン・ブランとセミヨンが半々になっています。
樹齢が比較的古く、そのため肉付きが良くて深みのある味わいに仕上がります。
荒れ果てたシャトーを20世紀後半の所有者の頑張りで復興させたので、遅咲きのシャトーといえます。
シャトードフューザル
遅咲きの格付けシャトー
このシャトーは、『箴言(しんげん)集』を執筆したことで知られる、モラリスト文学者のラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世が所有していたシャトーです。
1600年代、17世紀ですね。
そのころは“ガルデール”と呼ばれていたのですが、後にオーナーとなった、フューザル侯爵の名を冠して“シャトー・ド・フューザル”に変更されました。
ロシュフォール家のオーナー時代を経て、1893年にリカール家が経営の座に就くのですが、この年のワインが教皇庁の御用達になったのです。
そんな栄誉にあずかったにもかかわらず、2度の世界大戦で畑は荒れ果ててしまいます。
1945年、リカール家の令嬢、オデットの夫、エリック・ボックが再建に奮闘します。
ワイン造りの知識はありませんでしたが、エリックのおかげでシャトーには復興の兆しが見え始めます。
1974年、80歳でエリックが逝去するとジョージ・ネグルベーニュがシャトーを買収。
エリックの義弟、ジェラール・グリブランが支配人になります。
設備改修などに力を尽くした結果、シャトーはモダンに生まれ変わりました(写真↑)。
1994年にはバンク・ポピュラー・グループが、2001年からは暖房器メーカーを経営する、アイルランド出身のロクラン夫妻が所有しています。
2007年にステファン・カリエを支配人に迎え、ますます期待が高まっているのです。