ワイン用語集

新樽でワインを発酵/熟成させることのメリットとデメリット

高級ワインは白ワイン赤ワインのほとんどが新樽で熟成をさせます。

そして、その多くは新樽比率が高く、新樽比率100%は決して珍しくありません。

以前ほどではありませんが、「いいワイン=新樽比率100%」という風潮は確実にワインユーザーには浸透していて、特にこの傾向はフルボディ赤ワインに顕著でしょう。

ここでは、ワインを新樽で発酵や熟成をさせることのメリットとデメリットを検討してみましょう。

 

ワインを新樽で発酵・熟成

ワインの熟成のパターン

ステンレスタンク

新樽を検討する前に、ワインの熟成パターンをここで簡単に見てみましょう。

ワインの熟成は主に以下の3パターンに分かれます。

①樽で熟成

ステンレスタンクで熟成

③コンクリートタンクで熟成

このうち、現代的な生産者は①や②がほとんどで、③はほとんど見受けられません。

樽で熟成させることで樽の風味がワインにつきますし、そのぶん複雑性が増します。

ステンレスタンクやコンクリートで熟成させるとブドウ以外の風味がワインにつきませんので、ブドウの風味を生かしたクリアーなワインを造りたいときは②か③を用います。

そして、①の樽熟成は、今まで使用したことのない新樽か、それ以外の樽(2年目以降)に分類されます。

 

新樽か、そうでないか

では、樽熟成を新樽かそれ以外の樽かで分類させた場合、どのような違いがあるでしょうか?

樽はオーク材でできているので熟成させている間に樽成分がワインに溶け出る効果があります。

そして、樽成分は最初に使用することでそのほとんどがワインに溶け出るため、2年目以降の樽はほとんど樽成分溶出の効果はないと考えられています。

(2年目の樽は、おおよそ新樽の3分の1の樽成分と言われています)

そのため、樽の香りの利いたワインを造ろうとする場合は新樽はマストで、どれだけいい樽であっても2年目の樽では目的は達成しづらいのです。

 

新樽熟成のメリット

では、新樽で熟成させることのメリットを検討しましょう。

新樽には樽成分に満ちていますので、これが最大のメリットです。

樽成分による第三アロマはバニラの香りと言われていて、これが特に赤の高級ワインには不可欠なのです。

最近は以前ほど新樽偏向主義は落ち着きましたが、それでも高級ワインに樽の香りが印象づいているという感覚はやはり普遍かもしれません。

2年目以降の樽と同様に、オーク材には無数の小さな気泡がありますので、そこから空気が穏やかにワインと接触し、ワインに複雑性を与えるというメリットもあります。

 

新樽熟成のデメリット

では、新樽熟成のデメリットとはどのようなものでしょうか。

最大のメリットはコストの問題で、新樽は2年目以降の樽に比べて圧倒的に高いのです。

そのため新樽で熟成をさせようとするとどうしてもワインの価格が上がってしまい、こうなると新進気鋭のワイナリーではおいそれと導入することは難しくなります。

また、これはブドウの質にもよりますが、新樽の風味に負けてしまうようなブドウの場合は樽香が勝ってしまい、ワインの風味とのコンボネーションの悪いワインに仕上がる可能性があるのです。

白ワインや赤ワインの中には樽の香りが邪魔で、ブドウ本来の風味だけで勝負したいというワインもあるので、この場合も新樽は選ばれることはありません。

 

新樽発酵とは?

では、新樽熟成とは別に、新樽発酵とはどのようなものでしょうか?

新樽発酵は字のとおりワインの発酵を直接新樽でするもので、特に白ワインの手法です。

新樽で発酵させることにより、酵母の残骸が樽の表面に付着して穏やかな樽成分の溶出が期待できることが最大のメリットです。

さらに、発酵後に樽に詰め替える作業が減るため空気に触れるタイミングが一工程減るというメリットもあります。

 

まとめ

新樽熟成は、高級ワインがほとんど取り入れている手法なので、ともすると「新樽を使ったワインはいいワインだ」という理屈にもつながりかねません。

しかしこちらで検討したように、新樽を使うことはメリットもあればデメリットもあります。

また、こればかりは「どういうワインを造りたいか」という生産者の意向次第なので、良し悪しの判断材料ではありません。

ここまでお読みの皆様にとっては、一つの判断材料にとどめていただき、そのうえで、その時の気分で

「今日は樽の香りのきいたフルボディのワインをのもう」

「今日はブドウ本来の風味のステンレスタンク熟成のワインをいただこう」

と、選択する材料の一つにしてみてはいかがでしょうか。