ワイン用語集フランスワインボルドーのシャトーボルドー地方生産者

シャトーオーバタイィとは?その特徴と歴史

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シャトー オー バタイィ(CHATEAU HAUT BATAILLEY)は、ポイヤックに位置し、メドック5級に格付けされているシャトーです。

シャトーバタイィとはもともと同一のシャトーで、酒質も似ています(一般的にはオーバタイィのほうが柔らかいとされています)。

 

ポイヤックにはいくつかのグループがあって、いわゆる中堅どころのシャトーとしてバタイィとオーバタイィも根強いファンを持つシャトーです。

後述しますがもともとこの辺りで100年戦争の末期に血腥い殺戮線があって、その血みどろの戦いからバタイィ(戦いの意味)と名付けられました。

 

セカンド ワインはシャトー ラ トゥール ラスピックです。

所有する畑は22haで、カベルネソーヴィニヨン70%、メルロ25%、カベルネフラン5%です。

年間生産本数は約90000本で、日本ではあまり見かけないワインかもしれません。

ヴィンテージチャートを検討すると、まさに「これぞ中堅どころ」のお手本のような点数です。

ただし、ヴィンテージによっては過小評価の時もあって、ふるくからワインを知る人からすればもっと評価されてもいいワインだと思う人は多いかもしれません。

ポイヤックは1級と5級にワインが集中していて、こうなるとどうしても5級ワインは軽んじられてしまう傾向がありますが、それは誤解だと自信をもって言えます。

オーバタイィはポイヤックにあっては比較的早く飲めて、かつボルドーワインの神髄を楽しめるワインとしてワインファンにこそ強くお勧めします。

 

シャトーオーバタイィ

シャトーがないシャトー?

オーバタイィは、バタイィと分割された当初、邸宅などの建物はバタイィ側だったので、シャトーらしい醸造設備などを持っていませんでした。

オーナーのボリー家は、サンジュリアンのデュクリュ ボーカイユのオーナーであったため、1974年まではデュクリュ ボーカイユのセラーでオーバタイィも造っていました。

1975年からは隣接するブルジョワ級のクーロンヌの醸造所を現代的に改良し、ここをオーバタイィが使用しています。

1985年には熟成庫と瓶詰め施設を増設しています。

 

発酵は温度調整されたステンレスタンク16~20日間行います。新樽比率は30~50%で、16~20カ月熟成させています。瓶詰め前に清澄と、軽くろ過を行います。

 

ワイナリーの歴史

 

もともとバタイィとオーバタイィは一つのシャトーでした。

百年戦争の末期に1453年にカスティヨンの戦いで敗れた英国兵はポイヤックに逃げこむのですが、これの掃討作戦の責任者がゲスクラン将軍でした。

命からがら逃げ帰った敵国兵士を一網打尽にする掃討戦は血腥く、それがこの地で行われたためバタイィ(戦闘の意味のフランス語)と名付けられたのです。

掃討作戦とは、敵国兵を一人残らず完膚なきまでに叩きのめす戦略ですが、通常の兵法では決して最善の手法ではありませんから、よほどの戦いだったのでしょう。

(ちなみにこの戦いのときにシャトーラトゥールの砦も破壊されている)

 

 

いくつかの所有者を経て1819年に地元のネゴシアンで財を成したダニエル・ゲスティエのものになります。

その後に銀行家のハルファン家のものになり、1929年から、バタイィはボリー家が所有します。

1942年に、マルセル ボリー氏が亡くなり、バタイィがバタイィとオー バタイィの2つに分割されました。

そのオー バタイィと、ブルジョワ級のラ クーロンヌをフランソワ ボリー氏(デュクリュボーカイユのオーナー)が取得するのです。

この分割の際に邸宅のほうはバタイィに残ったので、こちらのほうにいわゆるシャトーらしきものがないのです。

もっとも、シャトーがあるとその分維持費がかかりますし、ボリー氏はデュクリュボーカイユのオーナーでもあったので特に不便はなく、むしろ好都合だったのかもしれません。

それもそのはず、1974年まではデュクリュボーカイユでワイン造りを行っていたのです。ずいぶんと現代的な感覚の持ち主だったのでしょう。

しかし、収穫期はどこも忙しく、サンジュリアンのデュクリュボーカイユまで運ぶのは厄介だし、その間にブドウが傷んでしまいます。

イメージ的にもぶどうを隣村に運ぶのはあれなんでということで、1974年以降はお隣のブルジョワ級のクーロンヌで仕込むこととなるのです。

クーロンヌは当時醸造所を大々的に設備投資し、ボルドー大学の指導のもと最新設備が整っていました。

 

 

1953年にフランソワ ボリー氏が亡くなり、娘のフランソワ デ ブレスト ボリー夫人が所有し、ボリー家が引き続き所有しています。

2017年にはシャトー ランシュ バージュのオーナー、カーズ家により買収され、これからの動向が注目されているシャトーです。

 

 

知名度はあまり高くありませんが、分割される前の歴史は長く、由緒あるシャトーです。
 
畑がポイヤックとサンジュリアンの境目にあります。
 
そのためポイヤックにありながらサンジュリアンに近いスタイルを持ち、柔らかく、優雅、エレガントさがあるワインとして評価されています。
 
比較的男性的なバタイィとは対照的に女性的なワインで、長期熟成をしなくても楽しみやすいワインとされています。