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ラ ロマネ ワイン|特徴とブドウ品種、ポイントを解説

ラ ロマネ(LA romanee)は世界最高峰の赤ワインであるロマネコンティに隣接する畑で造られるワインです。

ロマネコンティの陰に隠れて損をしていますが、ラロマネも間違いなく超一級のワインです。

ブドウ品種は100%ピノノワールで、ロマネコンティの真上にあって若干標高が高く位置しています。

生産されているヴォーヌ・ロマネには8つのグランクリュ(特級畑)があり、その中の1つがラ・ロマネなのです。

面積はブルゴーニュはもちろん全フランス最小のAOCで0.8452ha、コントリジェべレールの単独所有(モノポール)、年間平均生産量はおよそ340ケースでボトルにして4000本しか生産しません。

そのため名前は聞いたことがあっても目にしたことがないという人がほとんどでしょう。

 

今回は、この「謎のワイン」を探ってみましょう。

 

↑の地図を見るとわかりやすいのですが、この地形は左から右に下る緩やかな斜面になっていて、右隣(斜面の下側)がロマネコンティです。
 
画像からもわかりますが、面白いのがよく見るとほかの畑は斜面にそって垂直にブドウを植えているのですが、ラロマネは斜面に水平に植えています。
 
ラロマネはご覧のとおり南北に長いので作業効率を優先させた結果でしょう。
 
この植え方だと大雨が降った時に表土が流されるのを防ぐことができますが、ブドウ栽培者は身体を斜めにしながら農作業をすることになるので一般的には好まれません。

 

ラ ロマネ

語源と由来

「ロマネ」の言葉の由来は、1580年の土地売買契約書に記載があって、

「ローマ時代からブドウ栽培をしていた由緒ある畑だ」

ということが載っていて、これがロマネの語源とされています。

 

では、「ラ・ロマネ」はいかがなのでしょうか。

 

ラロマネの由来に関しては諸説あって、DRC側は

「ロマネコンティのみがロマネで、ラロマネとロマネサンヴィヴァンは近接しているため後から接頭語としてつけた」

という説を曲げません。

 

また逆にラロマネ側のリジェべレールは

「14世紀ころまで二つの畑は統合されていてその一部がコンティ公に売却されてロマネコンティと名乗ったときに、もうひとつをラロマネと名付けた」

と主張しているとされています。

 

こうなると、なんだかずいぶんシビアだなあという気もしますが、はっきりしていない以上どちらも話半分でちょうどいいかもしれません。

ラロマネではっきりしているのは、19世紀になります。

ナポレオン政権の将軍だったリジェべレール(↑1772年7月11日~1835年12月4日)は1815年から1826年にかけて現在の畑を構成する6つの分割された区画を順次購入し、1827年にモノポールが成立した、ということです。

 

 

 

ロマネコンティと何が違うの?

ラロマネもロマネコンティもこれだけ近接していて面積も小さいので、一般のかたですと

「何がロマネコンティとラロマネは違うの?」

と思うのが普通でしょう。かたや世界で最も有名なワインで、かたや謎のワインなのですから。

 

ラロマネの表土は50㎝の粘土石灰質土壌で、下層土はプレモー石灰岩ですが、これもロマネコンティとほぼ同じです。

ラロマネは斜面上部に位置していて、やや斜面が急なのでこれは違いといえますが、それにしても世界的な評価がここまで分かれるのは疑問に思う人もいるでしょう。

 

これについて専門家は、畑の立地を考えるとラロマネとロマネコンティに品質に差がつくのは考えにくいとしたうえで、やはり生産者の問題が大きいと評価しています。

後述しますがラロマネは長い間ボーヌにあるブシャールペールエフィスに熟成と販売を委託していて、これが決定的な差となったのでしょう。

 

ここで一つの疑問を持つ人もいるかもしれません。
 
おそらくワインを勉強した人であれば、
 
モノポールは所有者が特定されているから品質は保証されているのではないか」
 
という不文律がワイン界には存在し、カンの鋭い人はここでひっかかるかもしれません。
 
確かにモノポールであれば生産者による品質の差が出にくいため、その結果品質はイメージしやすく、これが「ブルゴーニュのモノポールは信頼できる=品質がたかい」
 
というポジティブなイメージが定着しているのでしょう。
 
しかし、実際には所有権者と管理者は以前のラロマネのように同一でないこともあって、必ずしもモノポールであることが品質の保証となるわけではないのです。
 
やはり、回りくどくてもワインは名前の響きではなく、ボトルの中身にフォーカスするべきだとの一つの回答なのかもしれません。

 

ワインの評価

ラ・ロマネの現在の年間生産本数は最大でも4,000本となり、1本当たりの平均価格は30~35万円ほどになります。

品質の評価はラターシュに次ぐとされていますが、希少性が高く価格はラターシュよりも上のことが多いです。

ロマネコンティよりも少ない生産量となり、更に希少価値の高いワインです。

日本ではほとんど見かけることはありません。また、情報も出回っていないことでも有名です。

その神秘性ゆえに、ブルゴーニュの赤ワインの中でも特異な存在感のワインといえるでしょう。

 

リジェ・べレール家のモノポール

ラ・ロマネの畑はドメーヌ・コント・リジェ・ベレ―ルが単独所有しています(モノポール)。

もともとは6つの区画に分かれてそれぞれの所有権があったのがラ・ロマネでした。

ブルゴーニュの首飾りの「真ん中の真珠」と呼ばれる4区を買い取り、最終的には6つの区画を買い占めて1827年7月1日にラ・ロマネとして登記したのです。

 

その後、1947年から畑はヴォ―ヌロマネの生産者であるレジ・シフォンによって管理されていました。

ところがリジェべレール家の一族内の問題で所有権が分割されると、そのうちの半分のワインを樽ごとにブシャール・ペールエ・フィスに引き渡し、その後を委託するのです(1976-2001)。

 

せっかく世界一の畑を持っていながらもったいない気もしますが、これは歴史を検討すると仕方のないことなのです。

ブルゴーニュワインは当時はいまほどビジネスとして成功していなく、アメリカの禁酒法や世界的な不景気も手伝って積極的に乗り出すのは歴史のある名家としては合理的ではないと判断したのでしょう。

そのため所有権以外の権利を預け、要するに全権委任をし、そのままずるずると続けていたのです。

残念ですが、これではお隣のロマネコンティとは水をあけられるのは仕方のないことでしょう。

 

その後、2002年から2005年までの調整期間を経て2006年から一族の一人、ルイミッシェルが一念発起し、全権委任から自家生産に踏み切ります。

これがどれだけの覚悟なのかは、想像を絶するものでしょう。

2005年より全てをドメーヌで行い、運営を自前にしてからは質は格段に上がり、もともとの位置、超一流のグランクリュに戻りつつあります。

ご覧のように近年は間違いなく世界のトップワインであり、希少価値とともに唯一無二の存在になっています。

このクラスのワインを購入するときは、どうしてもDRCに目が移りがちですが、現在、品質はまちがいなく世界のトップクラスの中でもさらにトップ集団にいて、世界のワインファン垂涎の的となっています。

なかなか口にすることはないかもしれませんが、チャンスがあった時はこういう歴史があって今があるのだと思いをはせてみてはいかがでしょうか。

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