ミュスカ デュ カップ コルス(MUSCAT DU CAP CORSE)は、フランスのコルシカ島にあるワイン産地です。
コルシカ島の北側の半島に位置していて、天然の甘口ワインのみ生産されています。
コルシカ島の北側の半島がカップ コルスと呼ばれており、半島の付け根あたりにあるバスティアから北側のサン フロランまで南北約40km、幅約10kmほどの大きさです。
コルシカ島北部に位置しているので、南仏特有の強い風ミストラルの影響を受けています。
読んでお察しのとおり、ブドウ品種はマスカット(ミュスカ)です。
ミュスカ デュ カップ コルスに使用できる品種は、ミュスカ ア プティ グラン ブランのみです。
ミュスカデュカップコルス
コルシカ島の甘口ワイン
ミュスカ デュ カップ コルスでは、ヴァン ドゥ ナチュレという天然甘口ワイン(VDN)のみ生産しています。
パスリヤージュという製法で作られており、収穫の時期を遅らせることによって、果実を乾燥させて、糖度が高まったブドウを収穫しています。
そしてワインの発酵中にブランデーの添加を行い、発酵を意図的に途中で止めます。そのためブドウ由来の糖分が残ったまま、甘口ワインとして生産されます。
コルシカ島は、フランス本土よりもイタリア本土の近くに位置しており、イタリアからの影響を強く受けています。
島のほとんどを山岳が占めており、「海の中の山」と呼ばれているほどです。
コルシカ島を支配していたギリシャ人によって、ワイン造りが伝えられており、長いワイン造りの歴史があります。
12世紀には、イタリアのトスカーナでコルシカ島のワインは高い評価を得ていました。
19世紀には、フィロキセラ禍によってワイン造りは一度衰退しますが、現在はワイン産地として復活を遂げています。
特徴
ミュスカ デュ カップ コルスは1997年に認可された、コルシカ島では最も新しいAOCです。
コルシカ島の他の産地と同様に日照量が長く、比較的温暖な地中海性気候です。
カップ コルスはシスト土壌を持ち、中央部では南北に山地が走っており、標高差があります。
わずか90haほどの畑から、世界的に有名な天然甘口ワインを生産しています。
ねっとりとした甘みとそれを支える酸味が豊潤で、コルシカ島はもちろんフランスの中でも上質な甘口ワインと言えるでしょう。
合わせる料理
特徴のある甘口ワインなので、食事と合わせる、というよりは食後のチーズやデザートと一緒に楽しみたいワインでしょう。
例えばロックフォールのように塩分の強いチーズは最高のマリアージュといえます。
ロックフォールの塩分をミュスカデュカップコルスの甘味で補うのです。
シガーがお好きな方はシガーと合わせるのも面白いでしょう。
シガーの強い風味にも負けないくらいの風味の強さがありますし、深夜の一杯にふさわしい奥深さのあるワインです。
デリケートさもあるワインなのであまりスパイシーなシガーはお勧めできません。
丸みのある味わいのダビドフやアルトゥーロフエンテなどの細すぎないタイプがいいでしょう。