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シャンパーニュ サロンとは?特徴と歴史、基礎知識

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シャンパーニュ サロン(CHAMPAGNE SALON)はウジェーヌ エメ サロン氏がメニル シュール オジェに設立したメゾンです。

シャンパーニュは、その気候の厳しさから、基本的には多くの収穫年や品種をブレンド(アサンブラージュ)して造ります。

ブルゴーニュよりもさらに強い栽培限界のため、品質の均一化を図るために歴史的に編み出されたシャンパーニュ地方の製法なのです。

しかしこのサロンは、単一ヴィンテージでシャルドネのみを使用することにこだわりを持ち、出来の良い年にしかリリースしていません。

これがどれほどの経営リスクなのかは想像に易いでしょう。

(サロンがリリースされない年のブドウは、系列のドゥラモットなどで使用されています。)

 

またサロンが造っているシャンパーニュは1種類で、サロン ブリュット ブラン ド ブランのみです。

多くの種類を生産するメゾンが多い中で、プレステージ一本に絞るところにサロンの質へのこだわりが表れています。

年間生産平均が8万本と少なく、かつ優れたヴィンテージにしか造りません。

これまでのヴィンテージは、

1905, 1909, 1911, 1914, 1921, 1925, 1928, 1934, 1937, 1942, 1943, 1946, 1947, 1948, 1949, 1951, 1953, 1955, 1956, 1959, 1961, 1964, 1966, 1969, 1971, 1973, 1976, 1979, 1982, 1983, 1985, 1988, 1990, 1995, 1996, 1997 , 1999,2002,2004,2006,2007

です。

全生産量の95%は輸出にあてられ、意外かもしれませんが日本に最も多く割り当てられています。

(もっとも日本のプレミアムワインのマーケットの縮小に伴い徐々に減ってきています)

日本に紹介され始めたのは今から20年ほど前で、それまで大手メゾンのシャンパンくらいしかなかったところにサロンが現れます。

それまでは結構なワインファンであっても、

「高級シャンパンはドンペリかクリュッグくらいだろう」

というのが相場でしたが、サロンの登場によって

「これが同じシャンパーニュか?」

とびっくりした人も多かったでしょう。そしてこの流れがシャンパンブームに大きく影響を与えるのです。

その衝撃は現在の価格推移にも表れています。いったいどこまで上がるのか、ちょっと手が出せないところまで来てしまいました。

グラフは世界の主なワインショップの価格の平均ですが、現状この価格では購入することは難しいかもしれません。

普通にワインショップで8万円~10万円と、お金がじゃぶじゃぶあって仕方がない人以外は縁がないワインでしょう。

ただし品質に関しては期待を裏切ることのないもので、熟成香の極みをこれでもかといわんばかりに味わえます。

大げさではなく、きっとそれまでのシャンパンのイメージが大きく変わる瞬間になるかもしれません。

 

 

シャンパーニュ サロン

単一のクリュ、ヴィンテージ、品種

 

使用するブドウはコート デ ブランのグラン クリュ、ル メニルから収穫された、高品質なシャルドネのみです。

サロンは70年代まで樽発酵を行っていました。

しかしピュアなテロワールを表現するために、それ以降はステンレスタンクに切り替えています。

綺麗な酸を大事にし、マロラクティック発酵は行いません。

そして最低10年もの長きにわたる瓶内熟成を得てリリースされます。

 

10年間瓶内熟成をするということは、10年間の間は利益が未確定の在庫を抱えるということです。

これが現在のスピーディーな企業経営にどれだけのデメリットがあるかは計り知れません。

それを差し引いてでもサロンは品質にこだわっているのです。

 

謎のシャンパンメーカー サロン

サロンは少しシャンパーニュを知った人であれば型破りなメーカーだと思うこともあると思います。

まず、このハウスは1914年創業と決して古くはありません。

その存在感に比べると逆に意外な感を持つひともいるでしょう。

後述しますがこのハウスは創業者の趣味で自分の飲むシャンパーニュを自分で造りたくなって始めた会社なのです。

(ちなみに日本では許可をなくして酒を造るのは趣味であったとしても酒税法違反です)

趣味とは言え造りたかったシャンパーニュは高潔で、そうなると必要なブドウはコートデブランの最高級のル・メニル村のシャルドネにしよう、となるのです。

シャンパーニュ地方でも特に高品質な畑が密集するメニルの農家であれば、そんなぽっと出の親爺にブドウを売ることはしないでしょう。

ところが数回通ううちに口説き落として買い付けに成功し、その後も名うての農家を口説き落としまくったというから謎も深まります。

 

シャンパンハウスには、その特殊な製法もあってどうしても大きな資本が必要です。

そのなかにあってサロンは「大きければいいってもんじゃない」という現代人の感覚にもマッチしたメーカーなのでしょう。

 

 

ワイナリーの歴史

 

1905年に、毛皮商人をしていたウジェーヌ・エメ・サロン氏が1haの畑を購入し、ワイン造りを始めました。

あまり語られていませんが、もともとは決して裕福な家庭ではなく、貧困を知っていたため自分の消費のためだけのワイン造りを始めるのです。

当初は趣味としてラベルも貼らずに造っていましたが、自身の造るワインに可能性を見出し、1911年からリリースを始めました。

1943年、ウジェーヌ氏の死去により甥が管理をしていましたが、1988年からはローラン ペリエ社の傘下に入り、高品質なワインを生産し続けています。

(その間にペルノリカールのグループに属していた時期があった)

発酵そのものはローランペリエで行われますが、その後はサロンのメゾンに移され、ここで8年から10年の熟成を経ることとなります。

 

単一クリュ、単一ヴィンテージ、単一品種というこだわりをもち、シャンパーニュ最高峰のメゾンとして、高く評価されています。

1920年から1930年までマキシム ド パリ(の全盛期)でハウス シャンパーニュに採用されていたこともあり、その品質の高さがうかがえます。

出来の良い年しか生産しないというポリシーがあるため、1世紀で約30数ヴィンテージしかリリースされていない、貴重なシャンパーニュです。

 

サロンは、茶化した言い方をすれば「趣味で造った親爺さんのシャンパーニュ」になります。

しかし、では趣味の範疇でシャンパーニュを造れるかと言われれば、そんな簡単なものじゃないというのがほとんどの人の意見でしょう。

前述のようにサロンは10年ものあいだ瓶内で熟成をさせて造ります。

10年間、売り上げはなく、莫大なお金がただ出ていくだけのシャンパン造りをするのは、私だったらどれだけのお金持ちであったとしても耐えられません。

(もちろんサロン社はリスクコントロールをしていました)

10年待って飲んでみたらたいしたことなかった、なんてことになったら設備投資も、ブドウ畑にかけた資金も、10年という年月もすべて無駄に終わるのです。

にもかかわらず待ち続けた10年とは、どのようなものだったのでしょうか。

よほどの確信があったのかもしれないし、よほどの変わり者だったのかもしれません。

 

運よくサロンを飲むときは、素晴らしい酒質の味や香りとともに、どんな気持ちで10年間を待ったのだろうか、そう思いをはせながら味わえば、また格別のものになるでしょう。