サルデーニャ州はイタリア半島の西、テレニア海に位置する島です。
州都は島の南部にあるカリアリです。
世界屈指のリゾート地で世界的に知られていますが、島の面積は広く、傾斜の部分でブドウ栽培とワイン生産がおこなわれています。
地中海ではシシリア島に次いで大きな島ですが、丘陵や山岳地帯の多くが岩石に覆われているため昔から農業はあまり盛んではありませんでした。
そのためワインに関しても非常に歴史が浅く、この州においてワイン造りが行われるようになったのは再開発が行われ始めた19世紀以降です。
しかし、近代的な醸造技術が普及し始めるとともに品質の高いワインが造られるようになりました。
スペイン領として支配を受けてきた期間が長かったため、スペインのブドウ品種を用いてワインが造られているのが特徴です。
四方を海で囲まれているため。普通であれば海産物の料理が発達しているように思いますが、意外なほど海産物の料理は少なく、代わりに山の幸が多く感じます。
これは、もともと「羊飼いの島」と言われるほど羊の数が多く、そのためチーズや羊料理が発達したためと言われています。
サルデーニャ州のワイン
代表的な赤ワイン
赤ワインでは、カンノナウディサルデーニャが有名です。
サルデーニャ全域で造られているDOCワインで、醸造には90%以上のカンノナウ種が用いられます。
カンノナウ(CANNONAU)はフランスのグルナッシュのシノニムです。
島全体で生産されているため、力強い味わいであることは多く共通しているのですが造り手によってスタイルが異なり一概に語ることは難しいでしょう。
近年では、飲みやすさを重視してタンニンや酸味を抑えて造られるタイプのものが多く造られるようになりました。
また、濃度の高い性格をさらに強めるため長期間熟成させたリゼルヴァと名の付くものもあります。
代表的な白ワイン
特殊なワインで知られているのがヴェルナッチャディオリスターノです。
シェリーやシャトーシャロンのように産膜酵母をつけて樽で長いこと熟成させることでアーモンドなどのナッツの香りが生まれます。
潮の香りが心地よく、サルデーニャの名産品であるボッタルガ(カラスミの一種)にも合わせることのできるワインです。
代表的な辛口の白ワインにはヴェルメンティーノディカッルーラが挙げられるでしょう。
スペイン原産のヴェルメンティーノ種を95%以上用いて醸造される辛口白ワインです。
イタリアでの栽培は非常に珍しく、南イタリアの一部とサルデーニャ島のみの生産となっています。
1975年にDOCの指定を受け、1996年にサルデーニャ島では唯一のDOCG昇格を受けています。
火山性の土壌でブドウが栽培されているためミネラルやカリウムを多く含み、すっきりとした酸味やフレッシュな果実味な味わいになっています。
島でとれる豊富な魚介類ともぴったりとあうワインでしょう。
地方料理
前述のように、四方を海に囲まれているにも関わらず魚よりも肉料理のほうが発達しています。
魚介類は、特産品のイセエビやマグロのボッタルガ(カラスミ)が生産されますが、リゾートに来るVIP達に主にふるまわれ、地域に根付いたものではありません。
日本のカラスミにもよく似ていますが、スライスしてパスタの上にかけて食べるのが流行です。
羊の数が多く、羊飼いの島と言われるほどなので、羊の肉をローストしたり、グリルする料理もよく食べられています。
もっとも、有名なものは何といっても羊乳のペコリーノチーズで、絞りたてのミルクから造るヨーグルトのようなジョッドゥやスモークをかけたペコリーノサルドなども知られています。