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シャトーソシアンドマレとは?その特徴と歴史

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シャトー ソシアンド マレ(CHATEAU SOCIANDO-MALLET)は、ボルドー地方のオー メドック地区に位置しています。

メドック全体でみると格付けシャトーのある村として知られるのはサンテステフが北限になるのですが、そのさらに北部のサンスーランドカドゥルヌの村にあります。

 

格付けシャトーがないからどうしても目立たないのですが、このエリアのサンスーランドカドゥルヌ、ヴェルトゥイユ、シサックの村はボルドーワインファンであれば避けては通れません。

たまたま線引きとしてその枠外にあっただけで、品質は格付けシャトーにも劣らないものも少なくないのです。

そしてその筆頭がこちらのソシアンドマレといえるでしょう。

セカンド ワインはラ ドモアゼル ド ソシアンドマレです。


このシャトーは1999年にパリで開かれたワインテイスティングで並み居るシャトーを押さえてトップに立ったことで一気に注目を集めたワインです。

ジロンド川を見下ろす小高い丘の上にあって、土壌そのものは砂利が多くモンローズに似ていたのです。

ところがその潜在能力に気づく人がいないためシャトーは野放しにされ、わずか6ヘクタールのぶどう畑は荒れ放題の状況だったのです。

そこに目を付けた生産者が粘り強く努力を続けた結果が現在の高評価につながり、経済的にも大成功するのです(後述します)。

 

最初はわずか6ヘクタールだったこちらのシャトーも、現在は年間45万本のワインを生産するまでになります。
 
日本のワインショップでも比較的見つけやすく、格付け外からか、価格も高騰はしていません(一本5000円~8000円程度)。
 
しかし品質は折り紙付きで、ボルドーワインを飲みなれてしばらくたったころにこちらをいただけば、また味わいも格別です。
 
リーズナブルに品質が高いクラシックワインをのみたい、というときに覚えておくと重宝するワインしょう。
 
もっとも、このワインは長期熟成型のワインの宿命か、若いうちは閉じた印象が強く、真価を発揮しにくいのです。
 
リーズナブルで品質の高さが有名なこともあり、こうなるとユーザーはどうしても若いヴィンテージのワインをすぐに飲んでしまいがちで、これがこのワインの泣き所かもしれません。
 
できれば10年程寝かせてからお飲みになることで、傑出したクラシックワインの魅力を感じることができるでしょう。

 

 

シャトーソシアンドマレ

ワインの全体像


所有している畑は85haであり、ド バレロンの小高い丘に位置しています。

ジロンド川に近いため、比較的温暖で穏やかな気候条件をもっています。

土壌は砂利が多く、排水性に優れています。栽培面積はおおよそカベルネ ソーヴィニヨン55%、メルロ40%、カベルネ フラン5%です。

 

栽培においてグリーン ハーヴェストや徐葉はあまり行わず、剪定により収量を制限しています。

収穫はすべて手摘みで行い、発酵はステンレスタンクとセメントタンクを併用し、自然酵母のみを使用しています。

マロラクティック発酵はタンク内で行い、熟成は新樽率100%の樽内で12カ月行います。

澱引きやろ過処理を行わずに瓶詰めされ、リリースされています。

 

ソシアンド マレは、ボルドーで最も長期熟成ができるシャトーのひとつです。

10~25年寝かせることにより真価が発揮される、クラシックなスタイルが特徴的です。

 

ワイナリーの歴史

1600年代に、バスク地方出身のソシオンド家によってソシアンド マレの歴史が始まったと言われています。

(このソシオンドというのは間違いではなく、実際にスペル間違いで長いことこう呼ばれていたのです。)

 

その後所有者は変遷し、19世紀半ばにはマダム マレが取得、そして1969年にはジャン ゴードロー氏が購入しました。

1927年生まれのゴードローは兵役後、ボルドーワインの将来性を見込んでワイン界に入り、ネゴシアンとして財を成し、その財産の全てをこのシャトーにかけるのです。

 

当時のソシアンド マレは、放棄されているような状態であり、畑は6haほどしかありませんでした。
 
1969年といえばボルドーワインは今のような世界で圧倒的な評価を得ているとはいえず、むしろ経済的には一番苦しかった時期をやっと乗り越えたころ、といえるでしょう。
 
シャトーそのものを二束三文で売りに出す所有者もいましたが、ボルドーのシャトーは買ったはいいけどその維持費が莫大で、金食い虫といわれていたのです。
 
その結果、所有者がころころ変わるところはシャトー運営が軌道に乗る前にさじを投げてしまい、これがボルドーワイン界のネガティブスパイラルだったのです。

 

そのなかでソシアンドマレの潜在能力に気づいたゴードローは、粘り強い努力を続け、徐々に深みのあるクラシックワインの素性を備えるようになります。

努力は比較的早く奏功し、徐々に畑は拡大、クラシックなボルドースタイルのワイン造りを心掛け、シャトーの評価を高めていきました。

 

そして1999年パリで開かれたワインテイスティングで並み居るボルドーの一流シャトーを押さえて一位となり、これを世界が知ることとなるのです。

このテイスティングはグランジュリィヨーロピアンと呼ばれ、1999年にパリで開催された際に、1990年ヴィンテージ132本のトップになり、いきなり注目を集めるのです。

この衝撃は、有名なパリスの審判によってそれまで疑いの目を向けられることのなかったメドックの格付けが根底から覆されしばらくしてからのことでした。

スタッグスリープやシャトーモンテリーナ、サッシカイアなどのスターワインを生み出し、これにソシアンドマレが続くこととなるのです。

 

パリスの審判については、こちらをご参考ください。

 

 ワインの教科書
パリスの審判|ワイン界激震のパラダイムシフト
https://wine-kyokasyo.com/judgement-of-paris
1970年代、カリフォルニアのワイン業界はちょっとしたプチバブルでした。それまで「ワインといえばフランスワイン。その他は亜流」というイメージだったところにブティックワイナリーと呼ばれるところが出てきたのです。それらワイナリーは小規模ながらもクリエイテ...

 

ソシアンド マレは2003年からはブルジョワ級の申請を行っておらず、あえて格付けされていません。

クリュブルジョワは選考基準が緩く、クラシックワインができにくいとされる北部メドックもすべてカバーされているため、同じように扱われるのがいやなのかもしれません。

 

ソシアンド マレは格付けされていませんが、ワイン評論家から高い評価を得ています。

その高い品質は、メドック2級に格付けされているシャトーに匹敵すると言われています。

(実際にテイスティングされた1990年ヴィンテージは、ワインアドヴォケイトはこのシャトーに92の高ポイントをつけます。

この年はシャトーごとにムラがあり、シャトーマルゴーが100であった一方でピションラランドで79、ポンテカネで85でした。)

 

近年の評価はトップクラスではありますが、その中では抜きんでた存在とはいえません。

これは予想に過ぎないのですが、1999年のテイスティングで一位になったときに、すでにほかのワインにロールモデルがあったようにシンデレラワインカルトワインのような存在になろうと思えばなれたでしょう。

しかし生産量を落とさず、逆に増やすところにクラシックワインのすばらしさをできるだけ多くの人に届けたい、という思いがつまっているのかもしれません。