ワイン用語集フランスワイン南西地方

南西地方のワイン|基礎知識とブドウ品種、全体像

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フランスの南西に位置するワイン産地である南西地方は、南西地方として一括りにされていますが、地域ごとに多様な特製のあるワインとなっています。

スペイン寄りのエリアなので、郷土料理にもオリーブオイルや色鮮やかな野菜料理が多くなり、それらに合わせるようにワインも造られています。

元々は並質のワイン産地でしたが、ブティックワイナリーの中には早くから高い品質を認められ、世界のワインファンを虜にするところもあります。

ただし、全体的に見れば世界的に有名なワイン産地というよりも、隠れた銘醸地と言える地方と考えたほうがいいでしょう。

 

南西地方のワイン

全体像

南西地方は、フランスの南西部に広がるワイン産地です。

ボルドー地方の東側と南側に位置しており、様々なアペラシオンが広域に点在しています。

南西地方ではワインが生産されているだけなく、フォワグラやトリュフの産地としても知られており、まさに美食の地方です。

 

南西地方は産地が点在しているため、ベルジュラック地区、ガロンヌ地区、トゥールーズ・アヴェイロネ地区、バスク・ピレネー地区の4地区に大きく分けられています。

 

南西地方はワインの産地としてはあまり知名度が高くありませんが、ワイン造りがマルセイユから西に広がり、ボルドー地方へと伝わる際に南西地方を経由しているため、早くからワイン造りが始まった地方です。

1152年にアキテーヌ公妃の結婚により、ボルドーの港を通じてイギリスとの貿易が活発化しますが、南西地方産のワインはボルドー産のワインよりも遅らせて運び入れることが決められ、「奥地のワイン」と揶揄されていました。

しかし南西地方のジュランソン産のワインがアンリ4世の寵愛を受けるなど、古くからその品質への評価は高いものがあります。

 

品種

南西地方では国際品種が栽培されていますが、土着品種も広く栽培されています。

白ブドウではセミヨンやソーヴィニヨン ブラン、ミュスカデルなどが主に栽培されています。これらはボルドー地方でも栽培されているものですが、その他にはモーザックやプティ マンサン、グロ マンサン、レン ド レルなどの土着品種が栽培されています。

黒ブドウではカベルネ ソーヴィニヨンやメルロなどが広く栽培されていますが、強いタンニンを持つタナやコット、ネグレト、フェル セルヴァドゥなども栽培されています。

 

特徴

南西地方は地理的にボルドー地方に近く、栽培しているブドウ品種も似ているため、ボルドー地方に似たスタイルのワインが多く生産されています。

しかし南西地方はドルドーニュ川やロット川、タルン川やピレネー山脈などの影響が複雑であるため、アペラシオンごとに異なる特徴を持っています。

生産されているワインは様々であり、スパークリングワインや極甘口~辛口の白ワイン、軽め~重めの赤ワインなど豊かなヴァリエーションを持ちます。

 

ベルジュラック地区

ベルジュラック地区は、フランスの南西地方に位置しているワイン産地です。

ボルドー地方の東側に位置しており、ドルドーニュ川の上流付近にあるベルジュラックの町を中心として、ドルドーニュ川の両岸に広がっています。

ボルドー地方に近いため気候的には海洋性気候の影響を受け、さらに少し内陸であるためボルドー地方よりも寒い冬が訪れます。

一方、夏はボルドー地方よりも豊富な日照量を確保することができ、ブドウはしっかりと完熟することができます。土壌構成は複雑であり、ベルジュラック地区は粘土石灰質や砂利質など多彩です。

 

品種

ベルジュラック地区は、南西地方の中ではボルドー地方の近くに位置していますので、栽培されている品種もボルドー地方に似ています。

白ブドウはソーヴィニヨン ブラン、セミヨンミュスカデルが主に栽培されており、黒ブドウはメルロ、カベルネ フラン、カベルネ ソーヴィニヨン、マルベック(コット)が主に栽培されています。

 

特徴

ベルジュラック地区のワインは、ボルドー地方のワインと特徴が似ており、ボルドーと比較されがちな産地です。様々なアペラシオンが地区内に含まれており、多彩なワインが生産されています。

ベルジュラックという比較的広域なアペラシオンでは、赤ワイン白ワイン、ロゼワインが生産されており、比較的手頃な価格で購入することが出来ます。

ぺシャルマンでは赤ワインのみが認められており、力強い味わいを持ち、長期熟成に耐えることができるワインが生産されています。

ベルジュラック地区では甘口ワインも生産されています。ソーシニャックモンバジャックは、貴腐ブドウや過熟したブドウから甘口の白ワインを産するアペラシオンです。

特にモンバジャックはボルドー産の甘口ワインに比べてお手頃な価格で購入できるため、地元で広く消費されています。

甘口~半甘口の白ワインが多く生産されていますが、モンラヴェルは辛口の白ワインと赤ワインが生産されています。

 

ガロンヌ地区

ガロンヌ地区は、フランスの南西地方に位置しているワイン産地です。

ボルドー地方の南側に位置しており、ジロンド川の支流であるガロンヌ川沿いを中心にトゥールーズまで広がっています。

ガロンヌ地区の北部はボルドー地方に近く、同じく大西洋の影響を強く受けています。

そのため北部は比較的穏やかな海洋性気候ですが、南部に行くにつれて内陸となるため、乾燥していて暑い夏を迎えることになります。

 

品種

ガロンヌ地区では様々なブドウが栽培されています。

ガロンヌ地区の中でもボルドー地方の近くに位置している地域では、白ブドウミュスカデルやソーヴィニヨンブラン、セミヨン、黒ブドウではカベルネソーヴィニヨンやメルロ、カベルネフラン、マルベックなどボルドー地方と同じブドウ品種が栽培されています。

一方ガロンヌ地区の南側では、白ブドウのモーザックも使用されており、黒ブドウではネグレトやアブリウといった土着品種も栽培されています。

 

特徴

ガロンヌ地区には様々なアペラシオンが内包されており、多様な特徴を持ちます。

コート ド デュラスとコート デュ マルマンデは、ボルドー地方よりに位置しているアペラシオンであり、共に赤ワイン、ロゼワイン、白ワインを産出しています。

ボルドーよりも降雨量が少なく暑さがあるため、ブドウはよく熟すことができます。

コート デュ マルマンデでは補助品種として土着品種のアブリウをアッサンブラージュすることが認められており、華やかな香りを持つ赤ワインが生産されています。

ガロンヌ川とタルン川の間に広がるフロントンでは、赤ワインとロゼ ワインが生産されています。

フロントンは内陸部に位置しているため、暑く乾燥した夏が特徴的です。

土着品種であるネグレトが主要品種として使用されており、シラーやカベルネ ソーヴィニヨンとアッサンブラージュされています。

知名度はあまり高くありませんが、豊かな果実味と芳醇な香りを持つ、高品質なワインが多く生産されています。

 

トゥールーズ&アヴェイロネ地区

トゥールーズ アヴェイロネ地区は、フランスの南西地方あるワイン産地です。

ボルドー地方の南東に位置しており、ガロンヌ川の支流であるロット川やタルン川沿いを中心として広大に広がっています。

大西洋と地中海両方の影響を受けるため、穏やかな冬と暑い夏が特徴的です。秋にはオタンと呼ばれる暑く乾燥した南西風が吹き込みます。

 

品種

トゥールーズ アヴェイロネ地区では、メルロやシラーなどのなどの国際品種も栽培されていますが、主に土着品種が栽培されています。

白ブドウではレン ド レル、モーザック、ミュスカデルが主に栽培されており、黒ブドウはマルベック、デュラス、フェル セルヴァドゥ、タナが栽培されています。

 

特徴

トゥールーズ アヴェイロネ地区は広大な産地であり、多様なワインが生産されています。

特にトゥールーズの東に位置しているガイヤックでは、スパークリングワイン、甘口~辛口の白ワイン、ロゼワイン、赤ワインなど様々なワインが生産されています。

ガイヤックの町を中心とした、タルン川の両岸に広がるアペラシオンなのですが、日当たりが良いためブドウはしっかりと熟していくことができます。

土着品種が主に栽培されており、赤ワインはデュラスやフェルセルヴァドゥが主に使用されています。土着品種の中でも特に白ブドウであるレン ド レルは、そのほとんどがこのガイヤックで栽培されています。

 

また、カオールの町を中心にしてロット河沿いに広がっているアペラシオンであるカオールは、赤ワインの産地として知られています。

カオールはフランスのワイン産地の中で最も古い産地のひとつと言われており、南西地方の中では人気のあるアペラシオンです。

カオールの赤ワインはマルベックが主要品種であり、その外観は「黒ワイン」と呼ばれるほど色が濃く、濃厚な味わいが特徴的です。

より内陸部に位置しているマルシャックではフェル セルヴァドゥを主要品種として、赤ワインとロゼワインが生産されています。

 

 

バスク・ピレネー地区

バスク ピレネー地区は、フランスの南西地方に位置しているワイン産地です。

南西地方の南側に位置しており、ピレネー山脈周辺に様々なアペラシオンが点在しています。

スペインとの国境に近く、比較的暑く乾燥した気候を持つ地域です。特にピレネー山脈の近くに位置している地域では、暖かな晩秋が訪れます。

 

品種

バスクピレネー地区では様々な土着品種が栽培されています。

白ブドウは主にプティマンサン、グロマンサンが栽培されており、黒ブドウはタナやフェル セルヴァドゥの他、カベルネ ソーヴィニヨンやカベルネ フランなどの国際品種も栽培されています。

 

特徴

バスク ピレネー地区には様々なアペラシオンが内包されています。

北部に位置するマディランは、タナを主要品種とした長期熟成型の赤ワインが生産されています。

タナはタンニンの語源となったと言われているほど強いタンニンを持つブドウ品種であり、熟成させることにより真価を発揮します。

マディランと同じ生産地域であるパシュラン デュ ヴィク ビルでは、プティ マンサン、グロ マンサンを使用した辛口~半甘口の白ワインが生産されています。

また、標高300mほどに広がっているジュランソンでは、辛口~甘口の白ワインが生産されています。

暖かな晩秋と南風の影響によりブドウは過熟することができるため、品質の高い甘口ワインができあがります。

ジュランソン近くのポー市はアンリ4世の生誕地であり、アンリ4世はジュランソンの甘口ワインとにんにくを口にこすりつけて、その生誕が祝福されたという伝説が残っています。

 

最もスペインとの国境付近に広がるイルレギでは、白ワイン、ロゼワイン、赤ワインが生産されています。

美食の町として知られるバスク地方の中心でもあるイルレギは、急斜面の丘陵に畑が広がっており、暑く乾燥した気候の影響を受けています。

赤ワインはカベルネフランやタナが主要品種として使用されおり、濃厚な味わいのワインが生産されています。