ワイン用語集ハンガリーのワイン

トカイワインとは?特徴とブドウ品種

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トカイ ワイン(TOKAY WINE  “TOKAJ””TOKAJI”とも記載します)はハンガリーの東北部、トカイ ヘジャリヤ地方で造られる貴腐ワインです。

トカイ ヘジャリヤはトカイの町の北に広がっているワイン産地で、アスーとは「しなびた」「シロップのような」を意味しています。

 

アスーは貴腐ブドウを使用した甘口ワインですので、貴腐菌の影響で水分が蒸発し、ブドウがしなびた様子が名の由来となっています。

トカイ アスーの中でも糖度が高いトカイ  エッセンシアは、世界三大貴腐ワインの一つとして高い評価を得ています。

栽培面積は5700ヘクタールと広大ですが(ソーテルヌは2200ヘクタール)、これは甘口だけでなく、辛口のワインも含めての栽培面積です。

 

ハンガリーのワインといっても日本ではなじみが薄く、おそらくソムリエ試験などで本格的に勉強する方以外にはほとんど知られていないでしょう。

甘口ワインは知ることでワインライフの幅が広がり、生活になじみやすいものとなりますし、何といっても世界三大貴腐ワインの一つですから、押さえておいて損はないでしょう。

貴腐ワインにつきましては、こちらをご参考ください。

 

なお、あまり知られていないのですが、日本ではトカイというとトカイ村で造られるワインだというイメージがあるかもしれませんが、実際には多くのコミューンがあります。

Abaújszántó, Bekecs, Bodrogkeresztúr, Bodrogkisfalud, Bodrogolaszi, Erdőbénye, Erdőhorváti, Golop, Hercegkút, Legyesbénye, Makkoshotyka, Mád, Mezőzombor, Monok, Olaszliszka, Rátka, Sárazsadány, Sárospatak, Sátoraljaújhely, Szegi, Szegilong, Szerencs, Tarcal, Tállya, Tokaj, Tolcsva, Vámosújfalu.

これだけ多くのコミューンがあって、トカイから北部のシャートラルヤウイヘイまでは結構な距離があります↓。

実際のブドウ畑はこの中に点在していて、この中で貴腐ワインに適するブドウ園やそうでないブドウ園が選ばれることになります。

 

また、トカイワインの北部生産エリアがスロバキアの一部にまたがっていて(Malá TŕňaとViničky)、これをスロバキアの生産者がトカイワインであると主張した経緯があります。

2004年に調印されたEU内の契約によって、スロバキア側のおよそ550ヘクタールの栽培エリアはハンガリー側の生産者と同レベルの品質基準を満たしたものに限りトカイワインと名乗ることができるようになりました。

国境がワイン造りの後に決められたのですから、陸続きではこういうこともあるのでしょう。

トカイ アスーは17世紀頃に誕生したと言われています。

トルコ軍の侵略により、トカイの住民は避難しなければなりませんでした。

ブドウを通常の時期に収穫することができず、通常より遅れてブドウを収穫することになるのです。

そして敵軍のスキを見計らってブドウを収穫しようとしたところタイミングが遅れ、貴腐菌が付いてしまいすでにおしゃかになっていたのです。

「こりゃダメだ」と思いながらもそのブドウを諦められず、ワインを造ったことが始まりとされています。

カビているブドウから甘い果汁を搾ることができるとは夢にも思わなかったでしょう。

 

もっとも、これは1650年ころの話でラインガウの貴腐ワインよりも150年前、ソーテルヌの200年前ということになるのでどこまでが本当かは全くの謎。
 
見た目にカビの生えたブドウをワインにするというのは今でこそ一つのスタンダードかもしれませんが、当時はご領主さまにバレれば身の危険だってあるでしょう。
 
そのためはっきりとした文献としては存在せず(というか残せない)、多くの史実から「きっとこのあたりの時代だろう」というのがわかっているだけなのです。
 
そのうえで、やはり世界で最初に貴腐ワインを人為的に造り出したのはトカイが初だというのは専門家の一致した意見で、貴腐ワインの始祖なのです。

 

トカイワイン

ハンガリーが誇る世界の名酒

どこまで進んでもブドウ畑しか見えない↑

元々ハンガリーは中世では大国で、教会主導のもとブドウ畑が増え、ヨーロッパ東部の一大ワイン生産国だったのです。

しかし16世紀半ばにオスマントルコに侵攻されてから150年間、国土の東半分がトルコ領になり、ワイン造りは途絶えることのない程度に低迷をします。

1683年にトルコは残り半分の西側を侵攻し始めますが、これは史上有名なウイーン包囲戦で敗れ、敗退をするのです。

トルコ占領時代はハンガリーの西半分はオーストリアのハプスブルグ家領になっていましたが、トルコの敗戦によってハンガリー全土がハプスブルグ帝国に組み込まれることになるのです。

ハプスブルグ家の宮廷が栄華を誇っていた全盛の時に名を広げたのがトカイワインなのです。

このころは東欧というよりはヨーロッパ経済圏に組み込まれ、高いワイン文化を誇り世界的に見ても高水準のワインを産出していたのです。

 

しかし第二次大戦後のソ連支配下での専売公社のシステムがワインの販売と流通を支配するようになると、このワイン文化は根本を分断されます。
 
極端な表現をすればワインはソ連に供給する物資の一つとしてみなされ、世界最高のワインは役人の作る計画産業の一つになってしまうのです。
 
これは何を意味するのかというと、生産者の自発的な品質の追求は国家への反逆とみなされ、ワインを楽しむ文化さえスポイルしてしまったのです。

 

ソ連解体後、ようやく国をあげてワイン産業の復興に取り組み、現在では外国資本も強く入り込み秀逸なワインを生産しています。

 

ハンガリーはソ連支配下で厳しい冬の時代が長く続き、これが世界のワイン産業に後れを取る理由となったのはその通りでしょう。
 
その中にあってトカイワインは品質も高く、よく探せばお値打ちのワインもあり、甘口ワインがお好きな方にはぜひお試しいただきたい一本として強くお勧めします。
 
甘口ですので酒質が強く、(あまりお勧めしませんが)冷蔵庫に入れておいても悪くなりづらいので、「甘口ワインは好きだけど、一杯で十分」という人にもいいでしょう。
 
ワインショップで見かけた際は、思い出してみてはいかがでしょうか。

 

この後にトカイワインの種類と全体像を紹介しますが、トカイと一口に言っても実は様々な種類があります。

なんとなくトカイ=甘口貴腐ワインというイメージがありますが、おおむね正しいのですがそうでないワインもあってこれがややこしいのです。

一般のワインファンであればトカイ=甘口貴腐ワインのイメージで全く問題ないのですが、ねんのため購入の際は甘口であるかどうかを確かめることをお勧めします。

 

 

特徴とブドウ品種

トカイ アスーは貴腐ブドウを用いて作られているため、貴腐ブドウの複雑な香りと、フルーツのコンポートや蜂蜜などの風味が特徴的です。

トカイ アスーは糖度により区分は異なりますが、アスーを名乗るためには最低120g/Lの糖度が必要とされています。

 

トカイ アスーではフルミント、ハールシュレヴェリュ、シャールガムシュコターイが使用されています。主要品種はフルミントであり、皮が薄く貴腐菌が繁殖しやすいため重宝されています。

 

 

トカイワインの種類

トカイ ワインには極甘口~辛口まで様々なタイプのワインがあります。

トカイ アスーと呼ばれる貴腐ブドウを使用したものが有名ですが、貴腐ブドウを使用していないものもあります。

 

サモロドニ

サモロドニ(Szamorodni)は「自然のままに」という意味であり、畑で選別せずに収穫されたブドウを使用しています。

そのため貴腐菌の繁殖したブドウもあればしなかったブドウからも造られるワインです。

サモロドニには辛口タイプのサーラズ(Száraz)と、甘口タイプのエーデシュ(Edes)の2種類があります。

エーデシュを名乗るには30g/Lの糖度が必要とされています。

 

トカイ アスー

トカイ アスーは貴腐ブドウを使用した甘口ワインです。この甘口ワインではトカイ アスー固有のプットニョシュ(Puttonyos)という単位が用いられています。

貴腐菌の付いたブドウは、プットニュと呼ばれる26kg入りの背負い桶により醸造所に運ばれます。

そしてゲンツィと呼ばれる136L入りの樽にワインが入っており、そこにプットニュに入っている貴腐ブドウを何杯分加えたかによって、

3杯ならアスー3プットニョシュ、

4杯ならアスー4プットニョシュ

という表記が用いられていました。

 

なお、2013年の収穫からアスーの表記の仕方が変更になり、残糖分120g以上がアスーと名乗れることになりました。

この変更に伴って、今までの5プットニョシュと6プットニョシュのみがトカイアスーと名乗れる、ということになります。

また、それまでエッセンシアと混同するとのことで批判のあったトカイアスーエッセンシアの区分はなくなり、トカイアスーの区分にまとめられました。

 

もっとも、それまでのプットニョシュの概念は、表記の有無については生産者の任意になっていて、強制力を持ちません。

そのため今のところ紳士協定レベルの拘束力しかないため、今後の動向が注目されます。

 

 

450g/L以上と最も糖度が高いエッセンシアは、貴腐ブドウのみを使用した極甘口ワインであり、自重の重みで得られる果汁から造られます。

ソーテルヌの最高峰であるシャトー ディケムにも匹敵する甘口ワインと言われていますが、実際には全く性質の違うワインなので比較対象ではないかもしれません。

 

その他のタイプ

トカイにはフォルディターシュ(Forditás)という甘口ワインも生産されています。

このフォルディターシュはアスー用ブドウの二番搾り果汁にマストを加えて再発酵させたワインです。

またマーシュラーシュというタイプのワインもあります。

マーシュラーシュ(Máslás)は、アスーやフォルディターシュの搾りカスにマストかワインを注ぎ再発酵させた辛口タイプです。

その他にはトカイ フルミントやトカイ ハールシュレヴェリュという辛口ワインもトカイでは生産されています。


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