ワイン用語集フランスワインボルドー地方

シャトーヴァランドローとは?その特徴と歴史

シャトーヴァランドロー(CHATEAU VALANDRAUD)は、2012年に第1特別級Bに格付けされたガレージワインです。

ファーストヴィンテージの1991年からわずか20年でトップワインとして格付けされたことになります。

1991年産はなんと1500本で13ユーロ。これでは商売になりません。

しかしすぐにワインの品質がジャーナリストの目に留まり、1997年産は97ユーロ、2005年産は165ユーロに設定するも即完売するという快進撃を実現します。

 

ここのシャトーはサンテミリオンガレージワインの走りとして知られています。

ガレージワインは、それまでは軽視されていた、あるいはまったく無視されていた畑から秀逸なワインを造りだしたことが特徴です。

別名カルトワインシンデレラワインとも呼ばれますが、ごく小さな畑のブドウを自宅のガレージのような小さな場所で造るからそう呼ばれています。

(摩訶不思議(オカルト)だからカルトワイン、一気にスターダムに上り詰めたからシンデレラワイン、と呼ばれているのでしょう)

 

赤ワイン用にはおおよそメルロー65パーセント、カベルネフラン25パーセント、カベルネソーヴィニョン5パーセント。

マルベック、カルメネールもそれぞれ少しずつ栽培しています。

 

なお、ヴァランドローには白のヴァランドローブランもあって、こちらも高い評価を受けています。

ソーヴィニョンブラン50パーセント、セミヨン35パーセント、ソーヴィニョングリが15パーセントです。

 

 

この手のガレージワインは世界中に散らばってありますが、サンテミリオンのこことテルトルロートブッフは旧来の生産者ではなく素人や新参者が始めたところが変わっています。

脱サラしてワイン界にはいり、ワインショップを経営しているうちに今度はワイン造りに興味を持ち、それで造ったワインが数年で評論家から高評価を得てしまうのです。

カンの鋭いユーザー様であれば、ボルドーワイン界でこのような流れが一筋縄でいかないことは想像に易いでしょう。

 

 

ファーストヴィンテージから数年はトップ集団の評価ではありましたが、その中では決してパッとした存在ではありませんでした。

「新参者が保守の権化のボルドーで頑張っているなあ」というレベルの評価だったかもしれません。

それがあれよという間に完成度を高め、近年の評価は全ボルドーの中でもトップ集団のトップの位置にいるといっていいでしょう。

これをわずか30年もたたない期間に成し遂げたということになります。

 

なお、サンテミリオンのシンデレラワインはこちら以外にもいくつかありますのでここで押さえておきましょう。
 
ヴァランドローと同様の新参者のワインといえばテルトルロトブッフ、
 
パヴィの弟分とされてきたパヴィーマッカン、
 
本来は高級ワインは絶対にできないとされた砂質畑のカノンラガフリエール、
 
100%メルロー新樽比率を高めた極小のキュヴェから造られるラ ゴムリー
 
などがあります。
 
このようなワインは1990年代は色が濃く、味わいも濃厚で飲みごたえがあり、樽の香りも強いいかにもアメリカ人好みのワインでした。
 
現代人の味覚にはわかりやすく、ジャーナリストも話題にしやすいのでどうしても目立つのですが、同時に繊細さや優美さ、気品や知的美がしばしば犠牲になっていたのです。
 
また、1990年代はこの流れに拍車がかかり、どれもが一様のパターンの味わいになってしまい、こうなるとワインの最大の魅力である多様性が失われてしまうという批判も根強かったのです。
 
現在ではマーケットの成熟とともに振り戻しの時期にあり、ほとんどのシャトーは樽の香りをおさえ、本来のエレガントな味わいのワインに仕上げています。

 

シャトーヴァランドロー

サンテミリオンのガレージワイン

1989年アルジェリア生まれのジャンリュックテュヌヴァンとその妻で、フランス南西部、リブルヌ出身のミュリエルアンドローが0.6ヘクタールほどの小さな土地を購入します。

サンテミリオンの丘とパヴィの丘に挟まれた谷(val:ヴァル)だったので、val+Andraud(アンドロー)、ヴァランドローと名付けたのです。

アンドローは妻、ミュリエルの姓。フランスでは結婚によって姓を変えることはありません。

ミュリエルの名を冠したのは長年にわたり自分を支えてくれた妻へ、ジャンからのプレゼントなのかもしれません。

 

10代でフランスにやってきたジャンは学業で優秀な成績を収めることはできず、卒業後は様々な職を転々とする普通のサラリーマンでした。

なかなか収入も安定しないなか、看護助手をして助けてくれたのが妻のミュリエルだったのです。

やがてジャンは喫茶コーナーが併設された土産物店をサンテミリオンにオープンします。

商材としてワインを扱うようになるとこれが思いのほかうまくいき、翌年にはワインショップへと改装するのです。

このとき出資してくれたのがリブルヌの寄宿学校で親しくなったシャトーオーゾンヌのオーナー、アランボーティエです。

 

 

ワインショップを経営しながらワイン造りに興味を覚えたジャンが購入したのがヴァランドローの畑です。

畑はLA CLOTTEの隣とMONBOUSQUEの近くで、後者は670号線の南側の平地で決していい場所ではありません。

 

最初は設備もありませんのでトラクターを借り、小さな畑を懸命に耕し、手作業で除梗、足で踏んで圧搾。

1991年、レンタルしたガレージでファーストヴィンテージが出来上がりました。

その数年後には評論家に喝采を受けて世界のガレージワインの仲間入りをするのです。

(ただしこれにはジャーナリスト側の思惑もあって、いつまでもクラシックワインばかりを取り上げてもユーザーはすでに飽きていて、新しいスターが必要だったという背景もありました。)
 

その後、ジャンは意欲的にシャトーを拡張し、現在では9ヘクタール弱になります(実際のヴァランドローは4.5ha)。

 

 

ヴァランドローは、超のつく保守的なボルドーのワイン界において、90年代には圧倒的な影響力を持つようになったワイン評論家たちに苦々しい思いをしていた人たちからはひどい攻撃にさらされます。
 

それまでボルドーこそがワイン界の中心だと信じて疑ってこなかった貴族出身の親爺からすれば、1980年代にぽっとでたジャーナリストたちに不本意な点数をつけられて面白いわけがありません。
 
ジャーナリストの採点するメディアの影響力は大きく、実際にその採点が市場価格を左右するものになると親爺の批判はより一層大きくなり、その矛先は脱サラして成功したヴァランドローにこそ向けられます。

 

しかし、次第に世界中からヴァランドローの実力が認められるとそれらの旧勢力も認めざるを得ないようになり、風向きを変えたのです。
 
2017年にはボルドーグランクリュ連合のメンバーにも選ばれ、名実ともにトップシャトーの仲間入りを果たします。

 

全くの旧来の生産者でもないし、軽視もされたし、無視もされた畑と醸造家が現代的醸造技術を駆使して上り詰めたその姿は、まさにシンデレラワインという名にふさわしいでしょう。

世界中のガレージワインに共通するポイントとして、生産量の少なさがあげられます。

ヴァランドローも年間に15000本程度しかリリースされず、どれだけ良い年でも20000本を上限としています。

そのため需給のバランスから価格がどうしても上がりやすく、これは仕方のないことでしょう。

極上のワインであることには変わりませんが、有名税も含んだ価格だと思ってお飲みになるのも一つの味わいのコツかもしれません。


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