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ヴォルネイ ワインとは?|特徴とブドウ品種、合わせる料理

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ヴォルネイ(VOLNAY)は、ブルゴーニュ、コートドボーヌでも特に女性的なワインとして有名です。

いかにも評論家が喜ぶような派手なワインではなく、繊細でかわいらしく、渋みのしなやかなワインがこのワインの真骨頂といえます。

懐古趣味といわれればその通りですが、本来のブルゴーニュワインはこちらのスタイルで、その意味ではブルゴーニュワインファンであれば飲まない手はありません。

(なお、フランス語は語尾に「ネイ」と発音することは少なく、実際の発音は「ヴォルネ」に近く、日本のサイトでもヴォルネと紹介されているところもあります。こちらではなじみのある「ヴォルネイ」で統一しております)
 

もともとコートドニュイジュヴレシャンベルタンヴォ―ヌロマネが台頭するまでは、ブルゴーニュの赤の花形といえばお隣のポマールとここヴォルネイでした。

6世紀にはイタリアで好まれ、ヴァロワ朝のフィリップが1328年にランスで戴冠式を行ったときのワインはヴォルネイでした。

また、1447年にルイ17世がブルゴーニュ王朝を倒してブルゴーニュを占領した時に真っ先に没収したのはヴォルネイのワインだったとされています。
(もっとも、このころのワインは薄いロゼ色のワインだった)

 

そんな地区だからこそ、昔から誠実にワイン造りを続ける名手が多く、よいドメーヌ物はブルゴーニュの中でもトップクラスの品質を誇ります。

ただし、1990年代くらいまではエレガントな昔ながらのヴォルネイのスタイルと、評論家好みのリッチな口当たりのヴォルネイに分かれた時代がありました。

また、土壌が複雑なためワインの評価が定まらず、これがヴォルネイのワインは難しいと思われている理由でしょう。

コートドボーヌグランクリュに認定されている赤ワインコルトンのみになりますが、コルトンに続いて質が良いと言われています。

ヴォルネイサントノは、行政区分上は隣村のムルソーなのですが、そこで赤ワインを産する場合にヴォルネイサントノのAOCを名乗れます。

 

指定栽培面積は213ha,そのうち約半分の115haがプルミエクリュです(ムルソー村にサントノの畑が29ヘクタールある)。

平均生産量は9000hl程度、ヘクタール当たりの最大収穫量は40ヘクトリットル。

アルコール度数は最大で13.5度、最低で10.5度、プルミエクリュは14度~11度です。

1級畑は34ありますが、その中でも

Clos des Ducs,Clos de la Bousse-d’Or,Champans ,Clos des Chênes,Les Caillerets ,Clos des 60 Ouvrées

等が知られています。

 

ところで、↑の写真ですが、これは20世紀前半(おそらく1905年)のころのものですが、当時は瓶ではなく樽でボーヌやディジョンの駅まで運んでいたことがわかります。

おそらく車両はとてもワイン生産者が買えるようなものでもないし、瓶詰めの設備もないだろうから運んだ先で一括して行っていたのでしょう。

これでは生産者元詰めはまだ先でしょうし、ネゴシアンが幅を利かせるのも無理はありません。

 

 

びっくりするのが、写真を見るとすでに樽をひもで縛ってありますのでこのまま輸送するのだと思いますが、これで運んでいたと考えるとなんて恐ろしいことを、と思いませんか?

車両の積載はワイン17トンで、これを貧弱なひもでくくりつけて、宅配業者はどんな気持ちでこの仕事を引き受けたのでしょうか。

ヴォルネイからボーヌまでは結構な標高差があり、ヴォルネイのほうが高いのでこの車両で道を下るのです!

その風景を想像すると身震いをするのと同時に、事故や事件も多かっただろうし、不正も行いやすかったのだろう、と思いをはせることができますね。

 

ヴォルネイ ワイン

隠れた銘醸地

ヴォルネイは、どうしてもコートドニュイの赤のように派手なイメージがなく、かつ、コートドボーヌは白が傑出しているため相対的に地味で損していますが、実際は品質は高く、隠れた銘醸地といっていいでしょう。

これだけワインの情報があふれた現在でもヴォルネイはやはり地味で、おそらく相当なワインファンでも「ヴォルネイが好き」という人はなかなかいないかもしれません。

しかし、だからこそいわゆるネゴシアンワインは影を潜め、その代わりに優秀な生産者が陣営を組んでいて、これを探す楽しさはヴォルネイならではといえます。

また、本拠地はお隣のムルソーやポマールであってもヴォルネイに畑を持っている所も多いので、生産者によってはムルソーだとびっくりするような金額でもヴォルネイではそうでもなかったりするのです。

 

クロドラプースドール

ヴォルネイで面白いのはなんといっても生産者のクロドラプースドール(CLOS DE LA POUSSE D’OR)でしょう。

この生産者はもともと同名のクロドラプースドールという畑のクリマを所有していて、同名のワインを生産していました。

というよりもドメーヌの名前を畑に名付けて販売していたのですが、これを1967年にフランス政府が横槍を入れるのです。

畑はプースドールの所有だったのですが、プースドールはそのほかの畑も所有していたのです。

政府としてはこれを認めてしまうと経済的事情で畑名があれこれ変更されることを危惧(儲かっているドメーヌが畑を拡大して名前を変更する恐れがある)して、

「一つのドメーヌがひとつの畑を所有していないのであれば畑の名称を同じようにすることはできない」

という通達を発したのです。

これをプースドールは面白く思いません。

怒ったプースドールは、畑の名前を一文字違いのブースドール(BOUSSE D’OR)にしてしまうのです。

普通の感覚から言えば子供っぽいなあと思うかもしれませんが、当の本人にしてみれば大問題なのでしょう。

ヴォルネイをお飲みの時のつまみにどうぞ。

 

ブドウの品種

ブドウの品種はピノノワールで、赤ワインのみ生産されています。

ヴォルネイの土壌は、ブルゴーニュで最も有名な白ワインを生み出すムルソーやシャサーニュモンラッシェと同じ基盤層にあります。

そのことからも土壌が優れており、ブドウ造りに適していることが分かります。

石灰岩と粘土質の土壌となり、水はけも良く、鉄分も豊富なので1等級の畑が多くあります。

現在でもすきを使って土壌を耕し、収穫を全て手摘みで行うような昔ながらの生産を心掛けている生産者が多く残っています。

 

ワインの特徴と楽しみ方

鮮やかなルビー色の赤ワインで、チェリーや花の香りを感じられます。

しっかりと締まった酸と品の良さが感じられ、すっきりとした味わいになります。

早熟なので、飲み頃も早く5~10年程度だと言われています。

プルミエクリュのものであれば、熟成に耐えられるので10~20年が飲み頃となります。

熟成するとスパイスのアロマが強まり、凝縮された旨みが一層感じられます。

 

女性的なワインなので、じっくりとローストした料理との相性が良くなっています。

繊細で渋みの滑らかな上質なワインなので、重すぎずやはり繊細な料理が合わせやすいでしょう。

例えばじっくりと火を通した牛フィレ肉のパイ包み焼きなどは最高のマリアージュでしょう。

渋味が強くはありませんので日本料理にも合わせやすく、お食事を通して一本の赤ワインで、というときにもヴォルネイは重宝します。