ワイン用語集スペインワイン

シェリー ワインとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理

シェリー独特の白亜のアルバリーザ土壌

シェリー(SHERRY フランス語でXERES)はスペインのへレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産されるDOワインです。

スペイン語のへレスはJEREZと記載しますが、これがシェリーと発音される由来とされています。

 

「世界三大酒精強化ワイン」と言われており、ポルトガルのポートワインやマディラワインと並んで有名なワインとなります。

蒸留酒やリキュールと勘違いされがちですが、酒精強化ワインはカテゴリー上はワインです。

シェリーは白ブドウのみが認められていますので、いろいろなタイプがありますが分類上は白ワインの一種なのです。

これは贔屓目に見ても現在の日本のワイン市場ではシェリーは他のワインに押され気味で、いまいち真価がワインファンに伝わっていないのはその通りかもしれません。

もっとも、これには仕方のない面もあって、世界的な食のライト化によって酒精強化ワインはトレンドから外れてしまったということが一番の原因でしょう。

また、日本でのシェリーのイメージというと、酒屋の棚の端っこのほうに大手寡占企業のシェリーのボトルがほこりをかぶって一本だけ陳列するイメージがあって、品質に目が向けられてこなかったのです。

しかし、実際には後述するアルマセニスタのように、長い歴史と高い品質を誇る世界の極上ワインといえるものも多く、ぜひ知ってもらいたいワインの一つです。

 

ここでシェリーの全体像を押さえてみましょう。

 

なお、シェリーは、ソレラシステムといって品質の均一化を目的に独特な熟成方法をさせます。

ソレラシステムとは、樽を積み上げて上段の樽から下段の樽に移し替え、出荷は最下段の樽からすることで品質の均一化をするのです。

確かにこの手法ですと品質は均一化されますが、生産者からすると現金化されるまでに時間がかかりすぎてしまい、そのため大手メーカーの寡占を助長しているとの批判も根強いです。

 

シェリー ワイン

イギリスに愛されたワイン

シェリーは歴史的にイギリスに愛されたワインで、そのため大英帝国の世界制覇に伴って世界中に広まったお酒です。

海洋国として台頭してきた英国は、航海の行って寄って帰っての際に各国各地のワインを手当たり次第に持って帰り、自国で消費をしていました。

(のちに大西洋上のラムを見つけてこっちのほうがいいと海軍の常飲酒になります)

元々本質的にはビールドリンカーだったのですが、ワインも好きでこれにシェリーが見事にハマるのです。

 

シェリーは酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)で、ブドウ果汁にブランデーを添加して酒質を強化させるのですが、これが当時のイギリスに惚れこまれました。
 
寒冷な気候のイギリスでは人たちの寒さをしのぐために強めのアルコールが望まれて、そのため強いワインが欲しかったのです。
 
当時のワインは樽詰めだったのでワインは数か月もすると変質したのですが、アルコールを添加することで酒質の変化が少なく、これも奏功します。
 
運搬手段が発達していない航海時代はポートやシェリーはこうした理由から世界の大人たちを虜にしていたのです。
 
ポートと共に、シェリーは英語読みのブランドが多く、その理由はこんなところにあったのです。

 

アルマセニスタ

シェリーはいろいろな歴史的な事情や、輸出は長くイギリスなどの英語圏に限られていたため、メーカーは極端な寡占状態に陥っていました(数社の大手メーカーが市場の大部分を独占する状態)。

こうなると輸出されるものは単調で無難なものが増えてしまい、これがワインファンの知的欲求にこたえてこなかったのです。

さらに、イギリスの植民地だったオーストラリアや南アフリカは自国産ワインにシェリーを名乗り、これがヒットし、折あしくイギリス市場にシェリー離れが起こるのです。

これを単に時代のせいとすることは簡単ですが、厳しく見れば特定の商売相手にマンネリビジネスを続けてきた結果という見方もできます。

 

こうした停滞を破ったのがエミリオルスタウ社です。
 
同社はアルマセニスタシリーズをリリースし、シェリー業界に風穴を開けるのです。
 
アルマセニスタは古くから受け継がれた酒庫(ボデガ)を持ち、素晴らしいシェリーをストックする人のことを指します。
 
彼らはワインを造ることはできるのですが、それを売る手段がなく、そのため地元で細々と消費されていたのです。
 
しかし、その中には個性的で品質が高く、大手メーカーのものとは全く違うものも数多くありました。
 
これに目を付けたエミリオルスタウ社が生産者の名前をラベルに表記するアルマセニスタシリーズをリリースしたのです。
 
現在、同社は買収されてしまいましたが、生産者の名前を打ち出す方針は変わらず、これが閉鎖的なシェリーのワイン界に与えた影響ははかり知れません。

極上のシェリーを飲んでみたい、というときに思い出してみてはいかがでしょうか。

 

ブドウの品種

シェリーは白ブドウ品種のみで造られており、パロミノ種とペドロ・ヒメネス種とモスカテル種の3種類が認められています。

ブドウの栽培面積としてはパロミノ種90%を占めており、最も多く使用されています。

このパロミノ種は辛口シェリーに使用されており、生食用としても用いられています。

ペドロ・ヒメネス種とモスカテル種は、極甘口シェリーの品種となります。

 

シェリーの特徴

通常のワインはアルコール度数が12~15度程度ですが、シェリー酒は15~22度とアルコールの高いワインとなります。

シェリーが生産されるアンダルシア地方は温暖で、スティルワインのままですと品質の劣化が早く、生産者を悩ませていました。

そこで、ワインから造られる蒸留アルコールを添加し、微生物の増加を抑制することに成功したのです。

これによってワインは長期の熟成に耐えられるようになり、さらにシェリー独特の風味が生まれることで世界的に成功を収めることになったのです。

シェリー独特の風味とは、フランスシャトーシャロンなどと同様の、産膜酵母(saccharomyces bayanus)によるものです。

一見すると不衛生にも見えますが、これがシェリーを世界的に有名にさせた製法なのです。

 

 

シェリーの種類

シェリーにはいろいろなタイプがあって、ラベルにも様々なものが記載されています。

現在のシェリーは様々なタイプがあって、例外も多いのですが、ここではわかりやすく辛口グループと甘口グループに分けてご紹介します。

 

辛口シェリー

シャリーはスペインを代表する酒精強化ワインであり、甘口~辛口まで様々なタイプのものがあります。

辛口タイプでは、主に下記5つのタイプに分かれています。

辛口タイプのシェリーは、パロミノ種が主に使用されています。パロミノ種は、石灰質の強いアルバリサ土壌に適したブドウ品種です。

 

フィノ(FINO)

日本でシェリーといえばフィノで、世界的にも最も成功したシェリーです。

一度飲んだら忘れない独特の風味があって、アルコールは高めですが飲み口は重たくなく、そのため食事にも合わせやすいです。

フィノは15%以上にアルコール度数が高められており、辛口で比較的スタンダードなタイプのシェリーです。

フロールと呼ばれる産膜酵母と共に熟成され、そのキリっとした味わいは食前酒やカクテルの材料として用いられています。

 

マンサニージャ(MANZANILLA)

マンサニージャはフィノと製法的には変わりませんが、生まれる場所の違いで名称が変わるというものです。

熟成をサンルーカル デ バラメーダで行う必要があります。

サンルーカル デ バラメーダは海辺の町であり、そこで熟成させることにより樽を通してシェリーに潮の風味が付くといわれています。

ただし、野ざらしで熟成させているわけではないし、海に近いから海の風味があるというのはやや無理のある理屈かもしれません。

 

オロロソ(OLOROSO)

オロロソは、17%以上にアルコール度数が高められています。

アルコール度数が高いため、フロールは付かずに酸化されながら熟成していきます。

濃い色合いとコクがある味わいが特徴的な、フルボディタイプのシェリーです。

 

アモンティリャード(AMONTILLADO)

アモンティリャードは、フィノとオロロソの中間的な特徴を持つと言われています。

ざっくり言えばフィノなのですが長期熟成をしたものとイメージください。

アルコール度数は16%まで高められており、フィノとして熟成させている間にフロールが消失し、その後は酸化熟成しています。

ナッツの香りと琥珀色の外観が印象的なシェリーです。

 

パロ コルタド(PALO CORTADO)


パロ コルタドはアモンティリャードとオロロソの両方の特徴を持つと言われる希少なシェリーです。

アルコール度数15%ほどでフィノと同様に熟成させていたもののフロールが付かず、途中でアルコール度数を17%に上げてオロロソ スタイルで酸化熟成をさせたものです。

ソレラ システムにより熟成させる前に1年熟成させたものをパロ コルタド、2年熟成させたものをドス コルタドと呼びます。

 

甘口シェリー

シェリーは食前酒として召し上がる辛口タイプが有名ですが、甘口のものもあります。主に下記5つのタイプに分かれています。

 

ペドロヒメネス(PEDRO XIMENEZ)

ペドロヒメネスという白ブドウを使用して造られた極甘口タイプのシェリーです。

収穫したペドロヒメネスを天日干しにし、糖度が凝縮したブドウを搾汁してワインを作ります。

発酵の途中でブランデーを添加し、甘さを残して樽熟成させたシェリーです。

とても濃い色合いで、レーズンのような香りや黒蜜の風味があり、凝縮感とコクのある極甘口に仕上がります。

一般的に食後酒として楽しまれる方が多いですが、アイスクリームにかけたりなどデザートとしても用いられています。

 

モスカテル(MOSCATEL)


モスカテル(いわゆるミュスカ)もペドロヒメネスと同様に、天日干ししたブドウから作られる極甘口タイプのシェリーです。

ペドロヒメネスではなくモスカテルという白ブドウを使用しており、比較的淡くフルーティーな味わいに仕上げられます。ペ

ドロヒメネスよりも粘性が低く、モスカテル由来の爽やかな香りが印象的です。

 

ミディアム(MEDIUM)

ミディアムは、アモンティリャード タイプのシェリーと、ペドロヒメネスまたはモスカテルをブレンドしたものです。

ほのかに甘く、繊細な香りを持つため様々な場面で飲まれています。

 

クリーム(CREAM)

クリームは、オロロソ タイプのシェリーと、ペドロヒメネスまたはモスカテルをブレンドしたものです。

レーズンのような厚みのある香りと、しっかりとしたボディの甘口です。

 

ペイルクリーム(PALE CREAM)

ペイルクリームは、フィノ タイプのシェリーと、ペドロヒメネスまたはモスカテルをブレンドしたものです。

爽やかな香りとほのかな甘みが飲みやすいタイプのシェリーです。

 

以上5つが甘口として区分されています。

パロミノ種で作った辛口をビノ ヘネロソ、ペドロヒメネスとモスカテルをビノ ドゥルセ ナトゥラル、その二つをブレンドしたミディアム、クリーム、ペイル クリームはビノ ヘネロソ デ リコールと呼ぶこともあります。

 

相性の良い料理

日本では食前酒として飲まれることが多く、この場合はフィノなどの辛口が非常に多いです。

アルコールが強めですので胃を刺激し、これが食欲をそそるのです。

アペリティフであれば、レストランであればアミューズブーシュとの相性は最高でしょう。

一口に切ったホタテ貝の貝柱をさっとソテーしたアミューズを口に含むと、磯の香が口いっぱいに広がります。

これをドライシェリーのミネラルとさわやかな酸味でより一層食事がおいしく楽しくなるのです。

食事中にはアモンティリャード、食後にはオロロソなどが適しているでしょう。

夏には辛口がサッパリと飲みやすく、冷やして飲むと更に美味しく楽しめます。

寒い冬には甘口や極甘口が相性良く、室温よりやや低いくらいの温度で飲むことがお勧めです。

日本のワインバーなどでも一時期ブームになりましたが、ペドロヒメネスをバニラアイスの少量垂らして食べるのもおしゃれですね。


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