ワイン用語集フランスワインアルザス地方

アルザスワインとは?特徴とブドウ品種、基礎知識

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アルザス地方は、フランスの北東部に位置しているワイン産地です。

ドイツスイスの国境に接している地域で、パリからアルザス最大の都市であるストラスブールまで550kmです。

TGVで向かうと2時間半ほどで到着します。

標高1000mを越える山々が連なっている山岳地帯であり、ライン川とヴォージュ山脈に挟まれています。

標高が高く、降雨量が少ない半大陸性気候です。

 


この地域は軍事上もそうですが経済的にも重要で、そのため歴史的にドイツフランスの領土争いの地となってきました。

街は美しく、かつ鉄鉱、石炭、カリウム等の地質資源に富んでいたため近代産業が進めば進むほど争いのたねとなるのは想像に易いでしょう。

また、アルザスはもともとワインの産地としても知られ、かつ交通の拠点でもあったので現金化しやすく、これが災いしたのです。

このため住民にはフランス領土となった現在もドイツ国民的な感情を持つ人も少なくありません。

 

アルザスワインはボトルがドイツワインのような形をしていて、ラベルにもドイツ語表記のものも多いです。

これらには国の都合に振り回されたワイン生産者の声なき抵抗が表れているのかもしれません。

ここでは、アルザスワインの全体像と特徴、セレクションドグランノーブルとヴァンダンジュタルティヴを紹介しています。

アルザスグランクリュについてはこちらを

アルザス地方の郷土料理についてはこちらを

合わせてご参考ください。

 

アルザスワイン

全体像

アルザス地方のブドウ畑は、15500haほどあり、年間120万ヘクトリットルほどのワインが生産されています。

アルザス地方のワイン生産比率は、白ワインが94%程で、赤ワインは1%程であり、主に白ワインが生産されています。

アルザス地方では1962年にフランスのAOCが制定され、1975年にはシュロスベルグが最初のグランクリュに認定されています。

現在は51のグランクリュが認定されており、プルミエ クリュの導入も進んでいます。

 

 

アルザス地方は、フランスとドイツの領地争いが続いた地域です。

現在でもドイツ語とフランス語の両方を話せる人が多く存在しています。

フランスの領地となった今でも、ドイツの影響を大きく受けており、フランスのワイン産地としては異彩を放っています。

1945年まではドイツのワイン法が適用されており、単一品種や糖度を重視したワイン造りが特徴として挙げられます。

またワイン造りの点では、ピュアな果実味を重視しており、熟成に小樽や新樽はあまり使用することはありません。

 

アルザスのワインを味わううえで、より一層おいしくするにはやはり歴史の流れを知るのが近道でしょう。
 
1648年にウェストファリア条約によってアルザスはフランス領になりますが、ここからがアルザスの人にとっては受難の連続なのです。
 

フランス革命にいたるまではドイツ的な感情や習慣を固持していたところ、革命によって精神的な土壌の変化を余儀なくさせられると徐々にフランス国民としての意識が根付き始めます。
 

歴代のフランス政府も当然のことながらアルザスの同化策をとり、これがようやく実を結ぼうとしたところに折悪しく普仏戦争が起こるのです。
 

フランスはこれに敗北するとアルザスの経済的・軍事的優位性に目を付けたビスマルクに迫られて、結果1871年にアルザスはドイツ領となります。
 

こうなると今度はドイツが同化策を進めることになり、学校教育はフランス語からドイツ語にされ、反仏思想を植え付けられます。
 

しかし第一次世界大戦でアルザスは戦場となり、1919年のヴェルサイユ条約でまたフランス領に戻るのです。
 

そして第二次世界大戦では南から侵入したドイツ軍の手におち、またもや一時的に占領、蹂躙されてしまいます。
 

戦争末期、連合軍はアルザスを奪取し、終戦を迎えてフランスの統治に戻り、現在に至るのです(第二次大戦以降の同化策はアルザススタイルを保持した軟化されたものだった)。

 

・・・いかがでしょうか。普通の感覚であれば踏んだり蹴ったりだし、住民に屈辱と怨念が心の奥底に宿るのは仕方がないことなのかもしれません。

 

流通ではあえて経済的なメリットのないサイズのドイツワイン風のボトルを使い続け、ブドウ品種を表記したヴァラエタルワインのシステム、そしてドイツ語読みのラベル

今度レストランやワインショップでアルザスワインのボトルを見かけたときは、思い出してみてはいかがでしょうか。

生き生きとした果実味と華やかな香りの輝くような味わいは、これらを乗り越えたからこそだとすれば、味わいもまた格別でしょう。

土壌

アルザス地方の土壌は、モザイクに例えられるほど多様性に富んでいます。

今から約1億5000万年前の中生代の頃、アルザス地方は海の底に位置していました。

その時期に、花崗岩の基盤岩の上に堆積物が積み重なり、いくつもの層が形成されました。

今から約5000万年に蜂起や陥没が続き、ヴォージュ山脈やライン平野の原型が出来上がり、現在のアルザス地方が形成された、とされています。

そのため石灰質、花崗岩、砂岩など様々な土壌で構成されており、個性豊かなワインを楽しむことが出来ます。

 

ブドウ品種

アルザスワインのユニークさは、なんといってもブドウ品種を表記するヴァラエタルワインシステムでしょう。

他の地域のワインはブドウ品種を記載することはほとんどありませんが、アルザスワインは以下のブドウ品種を用いる場合はそのものずばりをラベル表記するのです。

これはもちろんドイツワインの表示方法に寄せているということが一番の理由ですが、それ以外にもこの地方独特の気象条件による理由もあります。

アルザス自体が広域であるにもかかわらず土壌や気象条件がヴァラエティが飛んでいるため、ひとくくりにアルザスワインと名乗ることは難解で、デメリットが多いと判断したことも理由の一つだとされています。

 

 

リースリング

アルザス地方で、最も栽培されている白ブドウ品種です。国際品種として、世界中で広く栽培されています。

アルザス グランクリュを名乗ることが認められ、セレクション ド グラン ノーブルなどを名乗る高貴品種としても認められています。

晩熟なブドウ品種で、冬霜に強く、リースリングを使用するとエレガントで一本芯の通ったワインが出来上がります。

若いワインはフルーツの香りが豊かで、強い酸味が特徴的です。熟成を経ると、ミネラルの香りやペトロール香と呼ばれる重油のような香りが印象的になります。

 

ゲヴュルツトラミネール

ゲヴュルツトラミネールは、アルザスで3番目に栽培されているブドウ品種です。

ゲヴュルツとは、ドイツ語で「香辛料」という意味を持ちます。ドイツや北イタリアなどで広く栽培されており、ピンク色の果皮を持つブドウ品種です。

アルザス グラン クリュを名乗ることが認められ、セレクション ド グラン ノーブルなどを名乗る高貴品種としても認められています。

ゲヴュルツトラミネールを使用したワインは、とても香りが強く、バラやライチなど華やかなフルーツの香りが特徴的です。

ピノグリ

ピノグリ白ブドウの一種で、ピノノワールの亜種とされています。

ゲヴュルツトラミネールと同様に赤色色素が若干混じったピンク系の品種で、そのため白ワインではありますが、日本の甲州と同様にグレーグリーンと表現することがあります。

糖度が上がりやすく、セレクションドグランノーブルとヴァンダンジュタルティヴではより高い糖度が求められます。

ミュスカダルザス

いわゆるマスカットです。

そのキャッチーな香りから世界各地で甘口ワインに用いられますが、ここでは辛口に仕上げられることが多いです。

アロマチックでデリケート、かつマスカットの香りが心地よく、大変に上質ですが、作付面積はごく少なくなっています。

 

ピノブラン

ピノブランは、アルザス グラン クリュで認められておらず、セレクション ド グラン ノーブルなどにも使用することはできません。

しかしアルザスでは2番目に広く栽培されている白ブドウ品種です。

リンゴのようなフルーティーな香りが特徴的で、少し丸みのある親しみやすいワインが多く生産されています。

アルザスではクレマンダルザスとして、スパークリングワインの原料となることも多いです。

 

ピノノワール

ピノノワールは、アルザスで唯一認められている黒ブドウ品種です。

現在アルザス グラン クリュでは認められていませんが、近年アルザス地方のピノノワールは注目されているため、将来的にグラン クリュに認められる可能性があります。

アルザスで作られるピノノワールは、軽やかなボディで、柔らかいタンニンを持つ飲みやすい味わいのワインが多いです。

 

ヴァンダンジュタルティヴとセレクションドグランノーブル

アルザス地方は、フランスとドイツによる領地争いが長く続いた地域です。

そのためドイツ領だった時はドイツのワイン法が適用されていました。

現在ではフランスのAOC法が適用されていますが、ドイツワイン法の影響からか、単一品種でのワイン造りや、ブドウの糖度を重視したものになっています。

 

アルザス地方では、ブドウの自然糖度に関して、条件を満たすことにより、ヴァンダンジュ タルディヴやセレクション ド グラン ノーブルと表記することができます。

ヴァンダンジュ タルディヴ(VENDENGES TARTIVE)→遅摘みワイン

セレクション ド グラン ノーブル(SELECTION DE GRAINS NOBLES)→貴腐ワイン

ヴァンダンジュ タルディヴやセレクション ド グラン ノーブルを名乗ることができるのは、指定された高貴な4品種を使用したワインのみです。

その4品種は、ゲヴュルツトラミネール、リースリング、ピノグリ、ミュスカです。

 

またアルザスAOCでは、機械により収穫することを認めていますが、ヴァンダンジュ タルディヴやセレクション ド グラン ノーブルを名乗るためには、手摘み収穫である必要があります。

アルザスのヴァンダンジュ タルディヴとセレクション ド グラン ノーブルは、厳しい基準をクリアしなければ名乗ることができず、そのため高品質なワインが多いことが特徴的です。

秀逸なセレクション ド グラン ノーブルは、ボルドーソーテルヌと肩を並べる評価をされています。

指定された4品種を使用したものは、糖の最低含有量の規定が設けられています。

ゲヴュルツトラミネールとピノグリは他の2品種よりも糖度が上がりやすく、糖の最低含有量について厳しく規定されています。

ヴァンダンジュ タルディヴを名乗るためには257g/L、セレクション ド グランノーブルを名乗るためには306g/Lの糖分が必要です。

 

リースリングとミュスカは、ヴァンダンジュ タルディヴを名乗るためには235g/L必要であり、セレクション ド グランノーブルを名乗るためには246g/L必要です。

 


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