ワイン用語集ハンガリーのワイン

ハンガリーワインの基礎知識|産地とブドウ品種

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ハンガリーはもともと紀元前からブドウが栽培され、5世紀ころにはワイン造りが行われていたことが資料で残っています。

国全体がキリスト教の影響を強く受け、教会の発展とともにワインの品質もあがります。

有名なトカイワインもルイ14世のころには広くその品質が知られていて「王のワイン」として尊敬をされていたのです。

 

しかし、第二次大戦後の冷戦時代に専売公社がワインの販売網をすべて支配し、ワインはソ連に供給する物資だとみなされ造られることになるのです。

物資であれば品質は二の次で、質よりも量を重視したワイン造りをした結果現在の3倍までの量を生産することになるのです。

すべてのモノとカネが国にコントロールされるため、ひどい表現をすれば品質の追求は国家への反逆ととらえられていたのです。

 

ソ連解体後、国を挙げてワイン産業の復興に力を入れ、それが現在実を結びつつある状況です。

ブドウ栽培面積は約63000ヘクタールで、フランスの10分の1をやや下回る程度です。

 

ハンガリーのワイン

主なブドウ品種

ハンガリーのワインは、東欧のワインというよりも隣のオーストリアのワインに近く、ブドウ品種は名前はちがっても同一品種であることが多いです。

主な品種として以下の4つを押さえれば問題ありません。

 

<カダルカ>

カダルカはハンガリーを起源とし、ハンガリー国内で広く栽培されていた黒ブドウでした。

ハンガリーを代表する赤ワイン、エグリビカヴェールの主要品種でした。

第二次世界大戦を機に、カダルカの栽培面積は減少してしまい、エグリビカヴェールではブラウフレンキッシュが多く使用されています。

近年カダルカは再び注目を集めており、生産量が増加してきています。

カダルカからは色素は薄く、穏やかなタンニンが特徴の飲みやすいワインが生産されています。

ブルガリアではガムザと呼ばれており、高い人気があります。

 

<ケークフランコシュ>

ケークフランコシュは、ハンガリーで広く栽培されている黒ブドウです。

ブラウアーツィメートトラウベと、ヴァイサーホイニッシュとの交配品種です。フリッツ ツヴァイゲルト博士によって開発されました。

ドイツやアメリカではレンベルガー、オーストリアではブラウフレンキッシュと呼ばれています。

日本国内でも栽培されている品種です。

晩熟で長期熟成に向いている品種で、スパイシーなニュアンスと、しっかりとしたタンニンが特徴です。

 

<フルミント>

フルミントは、ハンガリーで最も栽培されている白ブドウです。

果汁の色が小麦の金色と似ているため、フランス語で小麦を意味するフロマンが品種名の由来とされています。

トカイでは特に重要な品種で、貴腐ワイントカイ アスーエッセンシアで使用されています。

辛口ワインも生産されており、その品質の高さが注目を集めています。

リンゴや蜜の様なフルーティーな香りと、リッチな味わいが特徴です。

オーストリアではモスラー、ドイツではモスレルと呼ばれています。

 

<ハルシュレベル>

ハーシュレベルーは、ハンガリーで重要な白ブドウです。

ハンガリーを起源とする品種で、ハーシュレベルーはハンガリー語で菩提樹を意味しています。

トカイではフルミントとブレンドされて使用されています。

軽やかでフルーティーな香りと、上品な味わいが特徴です。

 

主なワイン産地

<ノーザンハンガリー地方>

ハンガリー北部の、古くからある街であるエゲルを中心としたワイン産地です。

カダルカやケークフランコシュを中心として、カベルネ ソーヴィニヨンやメルロなどの国際品種も栽培されています。

仕方のないことかもしれませんが、国際品種の波に押されカダルカは近年栽培量が減ってきています。

エグリビカヴェールというワインが有名で、エゲルの雄牛の血という意味です。

ケークフランコシュを主体に造られ、飲みやすく力強い味わいで、エゲルを代表する赤ワインです。

 

<トカイ ヘジアリャ地方>

ハンガリーを代表するワイン産地で、北のカルパチア山脈の影響で冷気が抑えられ、ブドウ栽培に適した条件をもっています。

貴腐ワインであるトカイ アスーエッセンシアは、世界三大貴腐ワインとして知られています。

トカイの最上格である、貴腐葡萄100%で造られたトカイ ナトゥールエッセンシアは、オーストリアで最上の貴腐ワインとして知られ、世界屈指のデザートワインです。

フルミント、ハールシュレヴェリュ、シャールガムシュコターイが栽培されており、皮が薄く貴腐菌がつきやすいため、フルミントが主要品種として栽培されています。

トカイではフルミント単一の辛口ワインや、ハールシュレヴェリュ単一の辛口ワインも生産されています。

 

<ノーザン トランスダニュービア地方>

バラトン湖の北部に位置している、丘陵地帯です。

バダチョニではバラトン湖の影響により高い湿度があり、スルケバラートやケークニェリュが栽培されています。

バタチョニ スルケバラートやバタチョニ ケークニェリュと呼ばれ、フレッシュでフルーティーな白ワインが生産されています。

辛口のショムロー ユファルクが有名なショムローでは、畑が400haと小さいながら、フルミントを中心にして高品質なワインが生産されています。

 

<グレートプレイン地方>

ドナウ川の東岸一帯の産地で、ハンガリーの栽培面積の半分を占める広大な産地です。

比較的安価な、国内消費用ワインが大量に生産されています。